『三角棒の上の放課後』
放課後の廊下に嬌声交じりの荒い息遣いが響いている。この聖女学園では既に見慣れた光景である廊下の三角棒の上を、依子(よりこ)と真利(まり)が跨って進んでいた。
授業終了から既に一時間近く経っていることもあって、廊下には二人以外には生徒の姿は無い。そんな静かな廊下を、女生徒が二人きりで喘ぎ声を上げて身悶えしながら並んで進む。前後に大きくスリットの開いた超ミニスカートからは、秘すべき陰裂と窄まりが露になり、更に溢れ出した淫液は三角棒の頂点だけでなくその下や女生徒の太ももまでもしとどに塗らしている。
そんないつもと変わらぬ光景ではあるが、女生徒が全く二人きりという状況はどこか背徳的な雰囲気を醸し出していた。
「あっ、あっ、ううん、はうぅっ」
先を進んでいた依子が、三角棒に突いていた両腕をぴんと伸ばして体を仰け反らせると、あられもない声を上げた。ショートボブの髪を振り乱し、年相応にふくよかさを帯び始めている胸が小さく揺れたのが制服の薄い生地の上から見て取れた。
三角棒に一定間隔で取りつけられた十数個目の突起を、少女らしい無垢な股間で激しく受け止めた瞬間だった。頬を上気させて瞳を潤ませながらも、容赦のない性感責めに顔を歪める。
いつもより長く三角棒を渡っているために、既に全身が疲弊しきって上手く進めなくなっていた。それでも三角棒の上の這うようにして陰裂を蹂躙していた突起をなんとか乗り越えると、腕を突っ張ったまま大きく項垂れた。
依子は三角棒が苦手だった。いや、苦手と言えば、この学園の恥辱に満ちたさまざまな日常の校則やイベントのすべてが苦手であるのは言うまでもないのだが。しかし依子には、恥ずかしさとは別に特別な苦痛があった。
それは小陰唇や膣口といった粘膜へ与えられる刺激にひどい恐怖を感じていたのだ。何がその恐怖心の原因なのかは本人にも分からなかった。しかし、少女の体で最も敏感で繊細な部位への責めは、わずかな過ちで裂けて大ケガをしてしまいそうな、そんな想像をかき立てられずにはいられなかった。
特に廊下や階段に据えつけられた三角棒は、まるで割れ目に刃物を圧し当てられているように思えて、最も恐ろしく感じていたのだ。
それでも自分一人ならば、平静を保ちながらゆっくりと進めば進めないことはなかった。今までも、そうして入学してからの一年余りをなんとか乗り越えてきたのだ。
しかしすぐ後ろに別の女生徒がいる場合ではそうはいかない。自分が先に進まない以上は後続の女生徒も共に性感責めと羞恥責めを受け続けることになるのだ。
そして今まさに、依子はそういう状況にあった。
「はぁ、はぁ…… ご、ごめんなさい。真利ちゃん」
依子は肩で息をしながら、恐る恐るといった様子で後ろを振り返った。そして自分のせいで進めずにいる女生徒に声をかけた。依子の後ろから三角棒を跨って進んでいた真利は、依子の謝罪の言葉に表情を変えずに小さく頷くいた。
こんな風に普段から何を思っているのか分からない真利を依子は苦手だと思った。
三角棒を長い距離を渡ってきて、何も感じていない筈はない。それは真利が頬を赤らめ、腰まで伸ばした長い髪の数本が額や首筋に汗で張りついていることから見て取れる。
その姿は少し大人びた端正な顔立ちと相まって、同性でありながら思わず息を飲むような艶めかしさがあった。そんな真利に一瞬だけ見とれてしまった依子だったが、すぐに真利の視線から目を反らすようにして前に向き直った。
(私の前を進んでくれれば良かったのに……)
三角棒を進みながら、依子はずっとそう思っていた。もちろん、三角棒に登る時に依子は真利にそう勧めたのだ。しかし真利は首を横に振って、依子を先に行かせたのだった。
他人の干渉を受け付けない自分だけの世界を見ているような、真利にはそんな雰囲気があった。
それはこの学園において女生徒に対して暴挙の限りを尽くすことを許された男子生徒に対しても同じだった。日常の絶え間ない執拗な辱めに、真利は反抗したり愚痴を言うことはなかった。男子の行為を抗うことなく身に受けて、それでいて端然と振る舞っている。少なくとも依子や他のクラスメートの女子にはそう見えた。
それでも最初は、単に装っているだけではないかと疑われて、男子たちだけでなく一部の教師からも集中的に嬲られたこともあった。しかしそれでもまるで変わらずに平静としている真利に、とうとう不感症に違いないという噂が立つようになった。そしていつしか男子たちは、悪戯の対象から真利を外すようになってしまった。普段、女生徒に悪戯を仕掛ける時には威勢の良い男子生徒たちも、全く相手にされなければそれはそれで傷付くものらしい。
依子はそんな真利に憧れ、そして羨望の眼差しで見ていた。
しかし真利のそんな態度が、他の女生徒に思わぬ余波を及ぼすことになるとは女生徒の誰も予想していなかった。掃除やクラス係などで真利と一緒になった際、コンビを組んだ女生徒が男子から集中的に悪戯を受けることになってしまったのである。
もとはといえば、今こうして依子が真利と放課後の廊下を三角棒に跨っているのもそれが原因だった。
依子は今週から男子生徒六人、女生徒二人という清掃場所に配置された。依子が組む事になったもう一人の女生徒が真利だったのだ。
真利に手を出せない男子の悪戯の目標は、当然のように依子に集中した。依子は他の女子と比べてもかなり感度が良い上に、股間の敏感な割れ目を縄で責められたりすると刺激への怖さが相まって体を強張らせてひたすら悶絶してしまうのだ。そのために日頃から男子の恰好の標的とされているのだ。
そんな具合なので掃除がはかどるはずもなく、結局は依子と真利の二人だけで居残りで掃除をさせられることになったのだった。しかもその件で職員室に一度呼び出されるという二度手間を踏んでいたために、二人は三角棒をいつもよりずっと遠回りで渡ることになったのだった。
真利とコンビを組んでの清掃時間はまだこれから二週間も続く。学園の生活にも男子の悪戯にもわずかに慣れてきているとはいえ、今日のようなことが明日も繰り返されることを思うと依子は気鬱にならざるをえなかった。
考えたくはなかったが、掃除中に自分だけが悪戯されるのも、そしてこうして三角棒を延々と渡らなくてはいけないのも、全部真利の――
「まだ進めないの?」
「えっ、はいっ」
依子は心の中で恨み言を言っていたその相手に不意に声を掛けられて、声が上擦ってしまった。ばつが悪そうに後ろの様子を窺うと、真利が怒った様子も無く先ほどと変わらぬ無表情で依子を見つめていた。
その視線に押されるようにして依子は再び前進を開始しようとする。
しかし三角棒から股間を浮かせようとずっと腕を突っ張っていたのでは筋力が回復している筈もなかった。しかも三角棒に気持ちを集中すると、止まっていたときには忘れかけていた恐怖心が再び頭をもたげてきて、焦る気持ちと相まって上手く力が入らなくなってしまうのだ。
そうして再び依子は止まってしまった。数分、いや数十秒だったかもしれない。だが、依子にとっては、背後の真利が気になってやたらと長い時間に思えた。
そんな依子の左右の二の腕が後ろから力強く掴まれたのは全く不意の出来事だった。依子にはそれが真利の仕業とは一瞬思えなかった。驚く依子をよそに真利は変わらぬ静かな口調で言った。
「依子は棒から体を浮かせようとするから体力が保たないのよ」
「え?」
依子には真利の言葉が一瞬聞き取れなかった。いや、聞こえてはいたけれど、内容を認識できなかったというべきかもしれない。こんな風に話しかけられたことは数えるほどしか記憶にない。まして呼び捨てで名前を呼ばれることなど始めてだった。いや、呼び捨てが始めてなのではなく、名前を呼ばれたことそのものが始めてだったのかもしれない。そんな真利の意外な台詞に、依子は呆気に取られていた。
しかし真利はそんな依子に構わず、掴んだ二の腕を後ろに力強く引っ張って棒から離させると、体を支えられないようにしてしまう。
「あうっ」
体を支えていた腕を後ろ手に取られた依子は、陰裂で三角棒の頂点を受け止めて、その衝撃に小さく悲鳴を上げた。
「ま、真利ちゃんっ!?」
「ほら、依子はずっと腕で体を支えてるから。腕に余分な筋肉が付いてる」
真利はそう言いながら、後ろ手に取った依子の腕を隠し持っていたリボン状の紐で手際よく縛り始めたのだった。突然の事で、しかも背後の様子がよく分からない依子はただ慌てふためくことしかできない。
「真利ちゃん、なに、どうしたのっ!?」
「じっとして」
真利はそれだけ言うと、平然と依子の腕を後ろ手に雁字搦めに縛っていく。自分の腕が何をされているのかを察した依子が腕を振り解こうとすると、真利は掴んだ腕に下向きに力を加えて、依子の敏感な割れ目を三角棒の頂点に押しつけた。依子は声にならない悲鳴を上げて、それ以上は抵抗することができない。
「……できたわ、依子」
真利は何事も無かったかのように言うと、三角棒の上で前のめりになっていた依子の体を起こして、後ろから手を回して抱き締めた。
「いやぁ、どうして、どうしてこんなことするの。真利ちゃん!?」
依子はできる限り脚で体を支えようと踏んばりながら抗議する。腕を動かそうとしても、後ろ手にしっかりと二の腕まで縛られていて全く動かなかった。真利はそんな依子の耳元に触れそうなほど唇を近づけて囁いた。
「依子はまだ三角棒が怖いんでしょ。違うの?」
逆に尋ねられた依子は、躊躇しつつも素直に頷いた。自分があまりに進むのが遅かったので、真利を怒らせてしまったのではないかと思った。
普段は他の女生徒のことはもちろん、学校の尋常ではない規則にさえ、腹を立てるそぶりを見せたり愚痴を口にすることのない真利だったのだ。そんな真利を怒らせてしまった。そう思うと依子は自分がひどく情けなく感じるとともに、先ほどまでの真利への恨めしい気持ちを悔いる気持ちが沸き起こった。
「ごめんなさい、真利ちゃん。本当にごめんなさい。私が……」
そう言いかけた依子だったが、その言葉はそれ以上は続かなかった。なぜなら真利が、依子の体を後ろから抱え上げるようにして三角棒の上を後ろに引き戻したのだ。
「ま、真利ちゃん!?」
依子は咄嗟に両脚を閉じてブレーキを掛けようとしたが、表面が滑らかな上に、依子自身の淫液で濡れた三角棒の上では意味をなさなかった。真利が何をしようとしているのか、動転した依子には想像できなかった。しかしその答えはすぐに身をもって知ることになった。依子は先ほど越えたばかりの三角棒の突起に敏感な割れ目の深みを再び貫かれたのだ。
「あひぃっ! い、痛いっ。真利ちゃん、ごめんなさい、許してっ」
陰裂を突起に突き上げられ、そして抉られる感覚に依子は叫び声を上げた。そして必死に真利に哀願した。しかし真利は、そんな依子の言葉を全く気にかける様子もなく身悶えし続ける依子の体を後ろから抱き締めていた。
「そういえば、依子って”牽引列車”されたことなかったのね?」
半ば半狂乱になっていた依子だったが、真利のおだやかでどこか優しさを感じさせる声にわずかに落ち着きを取り戻すと、嗚咽を飲み込んでじっと耐えた。真利は少し間を置いて静かな声で続けた。
「私はよくやられたわ。男の子のからかいや、エッチな仕掛けに反応しなかったからかしら」
そう言って真利は小さく笑った。依子はその言葉に震えた。自分はそんな真利は羨ましくて、そして妬ましく思っていたのだ。だから、自分が真利の足を引っ張っていることを棚に上げていたことがひどく恥ずかしく思えた。
こんな風に仕返しをされても仕方がない、依子はそう思って股間の責め苦と恐怖を噛み締めた。しかし真利の本心はまったく別にあった。
「ねぇ、依子。赤ちゃんの頭の直径ってどのくらいあるか知ってる?」
「え?」
いきなりの問いに、依子は思わず首だけ振り返った。真利は優しく、しかしどこか悪戯っぽい表情を浮かべている。それは依子にとって初めて目にする表情だった。そしてなぜか、依子はそんな真利の顔から目が離せなかった。
「だいたい十五センチぐらいはあるのよ。体重が平均以上だともっとかしらね? そんなのが、あそこの穴を通って出てくるのよ? そうそう簡単に裂けたりするわけないと思わない?」
「え、ええ。でも……」
普段こんなふうに会話することがほとんど無かったからだろうか。真利の言葉は、教師が諭すような、いやそれ以上に説得力を帯びているように依子には思えた。
そして真利が依子の恐怖心を取り除いてくれようとしていることにも気付いたのだ。しかし言葉で理解できたからと言って、すぐに恐怖心を打ち消すことなどできるはずのないこともわかっていた。
「一度試してみれば大丈夫だってわかるわ」
真利は依子の体を抱きしめる腕に力を込めながら言った。その言葉に依子の体が緊張する。両腕を後ろ手に縛られていることが、否応なしに不安を増長させる。
「試すって、まりちゃん、なにをするの?」
「もちろん、依子のあそこが簡単には壊れたりしないってこと」
そう言うや否や、真利は依子の体を抱き締めたまま背中に体重を乗せるようにしてのし掛かる。
股間に三角棒の頂点が股間に強く押しつけられると同時に、さらに突起によって膣口が捻られ捩じ曲げられる感覚に依子は激しく狼狽した。
「いやーっ! 真利ちゃん、お願いやめてっ」
「だめよ。あと一分だけ我慢して」
「だめ、だめっ。痛いのっ、裂けちゃうよーっ」
依子の哀願は既に絶叫になっていた。しかし真利はそれを全く無視して、ゆっくりと依子に自らの全体重を乗せていった。
「くぅうーっ……」
依子は後ろからのし掛かられて前屈みの姿勢となり、叫ぶこともできない。唯一自由な両脚を突っ張ろうとしても力が入らずに全く意味をなさなかった。依子は自分と真利の二人分の体重の全てを未成熟な粘膜器官で受け止めているのだ。
酷い痛みは感じなかった。しかし目前の三角棒の頂点が淫裂を裂かんばかり食い込んでいる様を直視することができなかった。荒い呼吸をしながら、開けっ放しの口からは涎が絶え間なく糸を引いて零れている。
「依子、どう?」
負ぶさったままの真利が下の依子の耳元で尋ねた。しかし依子は声を出せずにいやいやをするようにかぶりを振ることしかできない。
「もう依子のあそこ、火照ってきている筈よ。ほら……」
そう言いながら真利は自分の体と共に依子を揺すると、依子は「ひぃっ」と小さく悲鳴を上げた。三角棒の頂点に押さえつけられて突起で栓をされた膣からは、プシュっと音を立てて淫液が飛沫を上げて飛び散った。
「依子の中、もうドロドロになってるわよ。依子、見て」
真利はさらに依子の割れ目を三角棒でマッサージするようにゆっくりとグラインドさせる。そのたびに依子の股間からはプシュとかクチュと音をたてて止めどなく淫液を垂れ流した。
そんな仕打ちに、依子はただ耐えることしかできなかった。しかし初めは恐怖を伴う苦痛でしかなかった股間への刺激の中に、次第に別の物が生まれつつあるのを感じていた。それは体の芯で、徐々にそして加速度的に熱を帯び始めていた。
「んっ、あ、はうぅ、んん……」
「依子、やっと良くなってきたのね?」
依子の呼吸にわずかずつではあるが甘い息が混じり始めたのを見て、真利は微笑みを浮かべた。そして徐々にリズミカルに体を前後に揺らし始めた。そのリズムに合わせて、依子もはっきりと分かるような喘ぎ声を漏らし始める。
「あっ、んっ、真利ちゃんっ、ぁあ、だめぇ……」
依子は声を上擦らせながら哀願した。しかしその言葉からは既に抵抗の意思は聞き取れない。
「そう、依子は、こんなに、感じやすいのに、怖がっているから、いつも三角棒が、苦しいのよ」
「うぅ、うんっ」
真利の言葉に依子は素直に返事をした。
三角棒の突起は、強く引っ掻くようにして膣口を出ては再び抉るという動きを繰り返し、そのたびに激しい官能を湧出していた。粘膜に与えられる激しい摩擦に恐怖が頭をよぎっても、止めどなく沸き上がる甘美な感覚にすぐさま押し流されてしまうのだった。
依子の淫液はいやらしい音と共に更にその溢れる量を増していた。それは真利にしても同じだった。割れ目から溢れた淫液は、依子のスカートと三角棒を挟み込んでいる柔らかな双臀を濡らしている。
三角棒に跨った二人の少女が、片方が負ぶさるようにして体をテンポ良く揺すり、そして共に喘ぎ声を上げている。その光景は、まるで後背位でセックスを想像させた。
「あっ、あっ、だめっ、イクのっ、依子イっちゃうのぉ!」
ついに上り詰めてしまった依子が、羞しい言葉を叫びながら真利を乗せたまま上半身を反り返らせた。
依子が絶頂に達したことを自ら宣言するのは、自然に男子に仕込まれたことだった。そうすることで、悪戯を切り上げてもらうことができる場合もあるのだ。男子による股間への悪戯に対して、こうして反射的に恥ずべき言葉を口にしてしまうことにはもちろん抵抗があったし、言った後は常に暗澹とした気持ちになるのだった。
依子は絶頂の余韻に浸る間もなく自ら発した淫らな言葉に涙を流していた。同性のクラスメートに絶頂に導かれて、しかも反射的にとはいえ羞恥に満ちた言葉を自ら発してしまったのだ。惨めに思えて仕方がなかった。
真利はゆっくりと依子の上から下りて再び三角棒に跨った。そして依子の前屈みの体を後ろに起こすと、今度は逆に依子の体を抱き抱えるようにして自分の上に体重を乗せさせた。そして後ろから互いの頬を密着させるようにして強く、そして優しく抱き締めた。
依子はそれまで掛かっていた負担が全くなくなると共に、密着した真利の温かい体温に戸惑ってしまう。依子は先ほどまでの自分への仕打ちにもかかわらず、真利の抱擁を不思議と心地良いものに感じていた。
「真利ちゃん……」
「依子。私のためにイクって言ってくれたのね。嬉しい」
「え、それは……」
依子は真利の言葉の意味が掴みきれずに口籠ってしまった。
(私のこと、慰めてくれてるのかな? でも、「ありがとう」って?)
困った様子の依子を見て、真利はクスっと微かに笑うと、半ば腰に乗せるようにして抱いていた依子の体を少し引き上げて、依子の股間に片手を伸ばした。
「え? あ、だめ……」
そう言いながら依子は顔を背向けた。
真利が伸ばした手の先には、依子の淫裂がわずかに口を開けて粘膜を覗かせている。そしてその割れ目の奥には、溢れきれなかった依子の恥ずかしい液が溜まっているのは想像に難くなかった。両手を後ろで縛られたままの依子は抵抗などできる筈もないのだが、しかし依子は元より抵抗する気は起きなかった。
真利の手が依子の股間に伸びる。依子は新たに与えられるであろう感覚に、微かな期待を抱きながら、知らずわずかに脚を開いてしまう。
しかし依子の予想に反して、真利の手が触れたのは依子の淫裂ではなかった。真利は、くちゅくちゅと音を立てて自らの割れ目に指を這わせると、糸を引く濃厚な淫液をすくい取ってみせた。依子は思わずその指先から目を離せなくなってしまう。
「ほら、依子の喘ぎ声で、私もこんなに」
「……」
「依子が可愛くよがり声を上げると、私いつもこうなっちゃうのよ」
「そんな、どうして……」
依子は真利の唐突な言葉に体を緊張させると、目の前で自らだらしなく開いていた脚を慌てて閉じた。
「やっぱり依子は、何も気づいてないのね。それとも私のこと嫌いになった?」
その問いかけに、依子は体をビクっと震わせた。
(嫌いだなんて思ったことないけど……でもそうすると好きってことになるの? でも真利ちゃんは女の子だし……)
依子は適切な言葉が見つからずにただうろたえることしかできない。そしてとうとう、頬を紅潮させて俯いてしまう。
同じ年頃の少女の大多数が抱くであろう筈の恋愛とは全く無縁な環境に置かれているせいだろうか。学園で受けるさまざまな性感責めによる興奮とは別の、温かくそしてくすぐったいような気持ちが込み上げてくるのを感じて依子は戸惑っていた。
「依子。私のこと嫌い?」
真利は俯く依子に再び、先ほどよりも優しく甘い口調で問いかけた。依子は顔を上げずに小さく首を横に振った。
「よかった。依子が嫌いになってなければそれでいいわ。それを確かめたかったの」
その言葉に依子は緊張を緩めた。いや、期待していたよりも真利の反応が淡白であったことに落胆を感じたのだ。そんな自分の気持ちに気づいて依子は混乱した。
(私、何を期待してたんだろう?)
そんな戸惑いを隠しきれない依子をよそに、真利は再び依子の股間を割って手を挟み込んだ。そして今度は依子の淫裂を指で広げる。依子は「あっ」と小さく声を上げたが、真利に体をあずけたまま抗うそぶりは全くみせなかった。
いくらかは淫液の湧出が収まっているいるとはいえ、充血して紅みを増した粘膜はてらてらと淫靡な輝きを帯びている。
「依子、ほら見て。あんなに激しく三角棒にこすり付けたのに傷なんて全然付いてないでしょ。これからもっと慣れていかなきゃね?」
「……うん」
依子は体をもじもじさせながら返事をした。真利に淫裂を目一杯広げられ、小さく頭を覗かせたクリットまでがはっきりと見えている。しかしこうして見られていることを何故か嬉しく感じていた。
そして依子は意を決したかのように言った。
「真利ちゃん、あ……ありがとう。私のこと、心配してくれて」
「いいのよ。それに私もずっと依子にこういうことしたかったのだもの」
「え?」
依子は思わず振り向こうとする。しかしその拍子に真利の頬に微かに唇が触れてしまい思わず肩をすくめた。そんな依子に真利は苦笑いを浮かべた。
「依子はほんとに今まで気づいてなかったのね」
「え、えと……」
「もしかして、入学した頃のことも忘れちゃった?」
依子は首を小さく傾げている。真利は依子の頬にわざと唇で触れながら、戸惑う依子の反応を楽しむようにして続けた。
「入学直後の依子、男子に悪戯された後、いつも言ってたのよ」
「え、私が? 何を?」
「男の子と付き合うぐらいだったら、真利ちゃんを恋人にしたい、って」
「ええっ? ……あっ」
「思い出した?」
依子はこれまで以上に顔が熱を持つのを感じた。それはきっと、顔を側付けた真利にも知られるほどだっただろう。
入学してまもない頃、男性不信になりかけていた依子には、端然とした振る舞いの真利がどの男子生徒よりも確かに素敵に思っていたのだ。
今になって思い出すと依子の発言は真利にとって失礼だったかもしれない。でもその思いは今でも全く失ったわけではなかった。
「思い出した? 依子」
「う、うん。でも……」
「依子が本当はどう思っていたのかは分からないけど、私はあれから依子のことしか考えられなかったわ。男子に悪戯されてるときも、いやらしい授業を受けているときも、触れているのが依子じゃないって思ったら全く冷めてしまったもの」
「じゃぁ、真利ちゃんが不感症っていう噂は……」
「そうね、依子のおかげかしらね。でも不感症じゃないわ。依子の可愛いよがり声を聞くだけでさっきみたいにあそこがすごく熱くなっちゃうもの」
依子は真利の話に、居ても立ってもいられなくなっていた。照れくささと、そして真利の気持ちに気付けなかった自分が許せない気持ちで一杯だった。手を縛られていなければ、校則違反だろうが構わずにすぐに三角棒を飛び降りて駆け出していただろう。
「真利ちゃん、私……ごめんなさい」
絞り出すような声でそう言って、依子は俯いて体を震わせていた。真利はそんな依子を少し力を込めて抱き締めた。
「別に構わないのよ。依子が私のこと嫌いじゃないって分かったし。それにこうして依子に仕返しもしちゃったしね」
真利は冗談めかして言うと優しく笑った。依子もそんな真利の頬に自然と顔を寄せる。
「真利ちゃん、私、やっぱり真利ちゃんの恋人ならいいなってずっと思ってた」
「そうなの? 本当に?」
依子の言葉に真利は少し大げさに疑うそぶりをしてみせたが、眼差しは変わらずに優しく依子に注がれている。その視線に照れくさそうにしながら依子は続けた。
「うん。でも真利ちゃん、いつもなにも言わないんだもん。この学園のなかで、見ているだけなんてアプローチじゃ全然通じないよぉ」
「そうね。依子の言う通りだわ。それじゃぁ、依子にはどうすれば私の気持ちが伝わるの?」
「え、えーと……」
依子は言葉に詰まってしまった。
言葉でひっそりと伝えるのは簡単だ。でもそれだけでは物足りないし、真利はもっと違う何かを求めているように思えた。依子はその気持ちになんとか応えたかった。
しかし下手なことをして他の生徒や教師に気付かれるのはまずいだろう。女生徒のプライバシーが全て排されたこの学園の中で、二人だけの互いの気持ちを確かめ合うのは至難の業に思えた。
しばらく考え込んでいた依子に、真利が口を開く。
「私に一つ思いついたことがあるのだけど」
「え? どうするの?」
「三角棒の上で私が依子にしか出来ないことをするの」
「この三角棒の上で?」
真利の言葉に、依子は更に首を捻ってしまう。三角棒といえば、常に男子や他の女子の視線に晒されている場所である。そんなところで、何をできるというのだろうか。
「そう、この三角棒よ。でもそのためには、依子に恐怖症を克服してもらわないといけないのだけど?」
「う、うん。私、がんばる」
「そう言ってくれてよかった」
真利は依子の決意のこもった返答に微笑むと、頬に軽く口付けした。それから依子を三角棒の上にゆっくりとまたがせて再び前屈みにさせた。
その瞬間、依子は「あふぅん」とあられもない声が上げる。先ほど依子の淫裂を責め上げた突起が再び填められてしまったのだ。
真利の”特訓”と、それに加えて三角棒に対する恐怖症を克服すると言ってしまった手前、情けない姿態を晒すわけにはいかない依子だったが、しかし一両日中に長い間の苦手がまるで平気になる筈もなかった。本人の気持ちとは裏腹に、依子の顔に怯えの色が浮かぶ。
「ま、真利ちゃん、なにするの?」
「依子の一番気持ちいいこと」
「私の?」
そう言われても、依子本人はそれが何を指しているのかがすぐには思い浮かばなかった。そんな依子を後目に、真利は自分の指を口に含んでたっぷりと湿らせた。 |