乃梨香の放課後


 
 ――4

「まず柴谷さんにはこの貞操帯を装着してもらいます」
 反省室に入ってまず行われたのは、秘部の制御だった。
 担任が持つ淫靡な器具に、全裸の乃梨香は言われた通りに股を開く。
 皮ではできていない特殊な貞操帯。
 中央に立つ秘部とアナルを攻める突起も乃梨香のそれに合わせて作られた特注品であり、挿入されただけで乃梨香の口から甘い吐息が漏れる。
「んっ……」
「ふふ。
 さすがの柴谷さんもこのバイブには声が出ちゃうみたいね。
 これは科学部の生徒たちが作った柴谷さんだけのための特注品なのよ。
 あなたの膣の一番感じるスポットを的確に捉えているから、歩くだけで気持ちいいはずよ」
 担任が饒舌になるのも無理はない。
 その担任こそ科学部の顧問であったし、学園で乃梨香を一番可愛がっている人間なのだから。
「でもこの貞操帯はそれだけじゃないのよ。
 もっと面白い仕掛けがあるんだから」
 ガッチリと固定された貞操帯。
 不自然に見えるその場所に乃梨香が声を出す。
「これは――」
 貞操帯の前方。
 乃梨香の秘部の上に突起の様に出っ張った長方形の場所。
 大きさはトランプのカードより少し大きいくらいだろうか。
 飾りには少し大きすぎるそれに重さは感じられない。
「ここは、この貞操帯のバイブを動かすスイッチになる場所よ」
「スイッチって。
 ボタンも何も――」
 言葉に被せるように担任はポケットからそれを取り出した。
「じゃーん。
 これがスイッチ」
 手に握られているのは1枚のカード。
 テレホンカードのような薄さと材質をしているそれは、中央にまるでトレーディングカードのように絵と数字と文字が綴られている。
「こ、コレって……」
 カードを渡された乃梨香は、そのカードの文面を読み意味を薄っすらと理解する。

  〜LEVEL1〜
 アクメには程遠い焦らす程度の若干うねりをもった振動。

「歩くだけで気持ち良くなっちゃうバイブをいつでも動かせちゃうのは可哀想だからって、男子生徒たちの提案なの」
 乃梨香からカードを取り上げると、そのまま手を股間へと伸ばしていく。
 薄いカードを股間の装置に読み込ませると、振動が始まる。
「んくっ……んん」
 一瞬膝が折れかけるも、立った姿勢のまま快感を受け入れる乃梨香。
 先ほど見たカードに書かれた通り、絶頂には程遠い、ほどよい刺激である。
「これはレベル1のカードなんだからイったらダメよ?
 まぁ柴谷さんなら大丈夫よね」
 担任はクスクス笑いながら、説明を続ける。
「今回の反省室はこのカードを中心に進めていきます。
 奉仕も排泄も全てこのカードで管理していきます」
 そう言うと、先ほどとは違う種類のカードをいくつも取り出す担任。

 〜排泄 LEVEL1〜
 バイブから尿道とアナルに少量の利尿剤・下剤を注射する。
 排泄時、特製のおまるに跨り装置が反応したときのみ貞操帯のロックは外れる。

 〜奉仕 1〜
 男子寮のコンセントの通電チェックを行う。
 別途のコンセントプラグを貞操帯に装着後このカードを読み込む。
 通電量に応じて振動量は大きくなる。
 このカードを読み込み後1時間以内に奉仕が終了しない場合のみLEVEL5の振動と電流を流す。

「カードの種類は二百数十種類あります。
 私が持っているのは初期に作られた弱いカードばかりだからアレだけど、あんまり言うことを聞かない様子だと、より強力なカードを使用されるかもしれません」
 担任の説明は続く。
 二百以上あるカードは男子生徒が数枚ずつ持っているということ。
 反省期間中は特例の効力もなくなること。
 そして一番異質なことは反省の期間についてだった。
「最後にこの反省の期間についてですが、柴谷さんにはコレを差し上げます」
 渡されたのは大きな本だった。
 乃梨香が厚い表紙を開くと、そこにはカードを収納できるスペースが用意されていた。
「……バインダー。
 カードを集めるんですか」
 乃梨香の言葉に担任はニヤリと笑う。
「さすが柴谷さん、理解が早いわね。
 反省に使用されたカードはこのバインダーに収納します」
 そう言うと担任は、先ほど乃梨香に使用したカードをバインダーの1ページ目、001と文字の打たれてあるスペースに収納した。
「全てコンプリートしろ、という訳ではありません。
 こちらが指定している任意のカードを集め終われば反省期間は終了とします」
 指定カードは5枚だけ。
 しかしながら、学園の誰が所持しているのか、どのイベントで獲得できるかなどの詳細は一切教えてはくれない。
「指定カードを持った生徒が、他の数枚のカードとトレード……なんてこともあるかもしれませんね」
 つまりは闇雲に、数々の羞恥なカードを読み込ませていかないと、反省の終了も見えてこないということだ。
「――わかりました」
 乃梨香の表情は先の見えない不安で薄っすら澱んでいた。


文章:橘ちかげさん
加筆・修正:ロック


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