集団食中毒
―第6幕―
「…………ふぅ…………」
結衣香は、鏡張りの壁を見渡してため息をついた。
反省室の一面のマジックミラーは、既に見慣れた光景である。
生徒会長になる前は、何度も男子や教師の理不尽な要求に逆らい、その度に反省室に押し込まれたものだった。
(みんな大丈夫かしら……。
でも、寮に帰ればトイレが使えるし、少しずつは体調も回復してくるはずだし……きっと、昼間のように悲惨なことにはならないはず。
……私ひとりなら、どんなことにだって耐えてみせるわ)
結衣香は、反省室に拘束された自らの身を案じるよりも、他の女子生徒たちの無事を願っていた。
――ギュルルピィーーーーギュルルッ!!
(……わ、わかってはいたけれど……やっぱり、まだお腹が…………)
腹痛と同時に便意が駆け下ってくる。
美術の授業中に言いつけを破ったときから、こうなることは覚悟していた。
反省室内にはトイレがあるが、決められた時間にしか蓋が開かず、排泄に用いることはできない。
それ以外の時間には、排泄が許可されない。
しかし、我慢の限界を迎えてしまえば、許可されていなくても身体が勝手に排便してしまう。
可能な限り回数を少なくしつつ、お漏らしを繰り返すしかない。
……そうなることは、わかっていたのだ。
――グピィゴロゴログルルッ! ギュルルギュリッ! グギュルルルルルギュルギュロロッ!!
――グピィーーッ! グギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥピィーーーゴロロロロロロロッ!!
――ゴロッピーーギュルピィーーーーッ!! ギュルギュルギュルギュロロロロロロロッ!!
「……っ!!
な、何で……こんな……痛い…………!!」
しかし、便意を感じた次の瞬間、腹痛と便意の段階が数倍に跳ね上がり、一瞬意識を失いそうになった。
食中毒を発症したときよりも強烈な便意。
あっという間に圧力が肛門に押し寄せ、疲弊しきった括約筋を全力で開かせようとする。
(ど、どうして…………少し落ち着いてきていたはずなのに…………こんな急に下痢がひどくなるなんて…………なにか原因が…………っ…………!!)
腹痛に意識を吹き飛ばされそうになりながら、思い当たる原因を探した結衣香の頭脳は、ひとつの可能性にたどり着いた。
(こ、この急なお腹の下り方…………まさか…………さっきの薬は…………!?)
4時間目終了後に、食中毒の症状を治めるために飲まされた薬。
それがもし、下剤だったとしたら……。
結衣香が知る限り最も強力な下剤は、「理科室の惨劇」と呼ばれる事件の際に飲まされたと思われるものだった。
今、結衣香が感じている腹痛と便意は、あのときの急激なお腹の下り方とよく似ていた。
(そんな……そんなことが許されるの…………!?)
食中毒の下痢に苦しむ少女たちに下剤を投与する。
これを鬼畜の所業と言わずして何と言おうか。
だが、この聖女学園では、外の世界で許されないことこそが敢えて行われるということも、結衣香はよくわかっていた。
「……っ!! みんなも…………!?」
下痢に苦しむ結衣香の顔が一層青ざめた。
今また下剤によって女子生徒たちがトイレに殺到したら、すぐにトイレが足りなくなる――。
「先生、聞こえていますか!!
みんなにちゃんとした治療を!!
それと、仮設のトイレを用意してくださいっ!!」
その声は監視カメラに拾われて教師に聞こえているはずだった。
しかし、反省室にいる結衣香は、生徒会長権限が停止されているのはもちろん、通常の生徒としての権利すらも残されていない。
いかなる要求も受け入れられることはないのだった。
「先生!!」
それでも結衣香は叫び続けた。
「うぅ…………んっ…………!!」
――ブピッビィィィィィビシャァァァァァビュルーーーーーーーーーーーッ!!
――ビシャーービチィィビィーッ! ブピッビシャビィィィビシャアッ!
――ビュルッビチャジャアアアッ!! ビィィィィィィィィィビシャアアアアアアッ!!
由紀がガラス製の洋式便器に水便を注ぎ込む。
既にその中には大量の汚水が溜まっており、便器の側面にも茶色い飛沫が飛び散りまくっているが、これは由紀が排泄したものだけで、他の子の汚物は混ざっていない。
(やっと普通にトイレに入れた…………ふ、普通じゃないけど…………)
由紀は手前向きの便器に座っている。
その後ろ姿は、マジックミラーを通して男子寮から丸見えになっている。
まだ小ぶりなお尻も、苦しげに開閉する肛門も、そこから流れ出る茶色い水状便の滝も、便器の中に溜まった汚水の海も、全て見られているのだった。
しかし、その寮のトイレですら普通に感じられてしまうほど、きょうの学校での経験は悲惨過ぎた。
特に体育の時間……。
吐き出した水便が密着したブルマで受け止められる感覚、汚水がブルマから流れ出し上半身を滑り落ちてくる感覚、茶色い液体が顎を通り過ぎて唇に達したときの感覚――、どれもが由紀の神経に深く刻み込まれていた。
それだけに、腹痛に苦しみながらも、自らの身体を必要以上に汚さず便器に排泄できることに安堵を覚えていたのだった。
「っ…………ふぅっ…………」
――ブシャビシャーーッ!! ブピッビチャビシャーーッビチィーーッ!
――ブジャッビィィビシャーーッビュルーーッ! ビュルッビィーーッジャーーッ!
――ブパッビシャーーーービュルルルルルルルルッ!! ビュッビチィーーーッブシャーーーーーッビュルルルルビシャーーッ!
由紀が立て続けに水便を噴射する。
汚物にまみれた身体は、寮に帰って直行した浴場のシャワーで洗い流され、可愛らしいワンピースに覆われている。
純白のパンツを膝下まで下ろし、剥き出しの肛門から下痢便を噴出する姿は、普段なら恥ずかしくてたまらないものだったが、今の由紀には平穏な光景に感じられている。
「んんっ…………ふぅ………………」
――ブシャッビシャジャァァァァァァビュルルルルルルルルッ!! ビュビチャジャアアアアアアアッ!!
――ブパッジャァァァァァビュルーーーーーーーーーーーーーーーッ!!
――ビィッ…………ビュルーーッ………………ブシャッ………………
激しい爆発のような噴出の後、わずかずつの放水が続き、由紀の排泄は終わりを告げた。
食中毒発症時は出しても出しても終わる気配がなかったが、今回は比較的短時間で便意が収束に至った。
少しずつお腹が回復している様子が感じられ、由紀の心がわずかに明るくなった。
普段は嫌でたまらない催淫剤入りウォッシュレットも、今は少しだけ心地よく感じられるほどであった。
ほぼ綺麗になったお尻を紙で拭き上げ、白いショーツを履き直して便器に水を流す。
一瞬の間をおいて、水そのものの汚物とその上に浮かぶ紙が流されていった。
(よかった…………普通にトイレが使えるみたい)
トイレを後にしようとした由紀は、入口でふたりの女子生徒とすれ違った。
「瑞穂ちゃん?」
「ゆ、由紀さん…………あ、あの、ごめんなさい、わたくし、急いでいて…………」
おしとやかな瑞穂には珍しく慌てた足取りで駆け込んできて、一番近い便器を開けて座り込んだ。
「美奈ちゃん……」
「あ、あの…………と、トイレ……!!」
美奈の顔は真っ青になっており、走ることもままならず、ふらつく脚で瑞穂の隣の便器を開けた。
「ぅうううっ…………!!」
――ビシャブシャーーーーーッビシャアアアアッ!! ブジャッビィィビュルーーッジャーッ!
――ビュッビチビシャビュルーーーーーーーーーーーーーーッ!! ビシャビィーーッビチィーーッ!
――ビュルッジャアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!! ビュルッビュビシャビュブシャーッ!
――ブパッビシャビシャーーーーーーーーーッ!! ブシャブシャァァビィィブシャーーーーーーッ!!
「はぅっ…………!! ぅぐ、んぅぅっ…………!!」
――ブパッビューーーーーーーブシャーーーーーーッ!! ビュビィーッブシャーッブビューーッ!
――ブピッビチィィィィィィィィィィィィィィジャーーーッ!! ビチィーーーーーッブビューーーーーッ!!
――ブパッビシャビシャビィィィィィィィッ!! ブピッビュルーッジャーーーービュルジャーッ!
――ビシャビチィィビィーーーーッビュルーーーーッ!! ビュビシャジャアアッ!!
瑞穂が手前向きの便座に座ると同時に水便を噴射する。
一呼吸遅れて奥向の便座に座ろうとした美奈は、便座に座る前に水便を噴射し、便座の淵を汚してしまった。
(瑞穂ちゃん……美奈ちゃん……まだ良くならないのかな…………)
自分の体調の回復が感じられた後だけに、回復の兆しすら見えないふたりの排泄模様に深く同情する由紀であった。
「も、漏れちゃう!!」
「あ、あっ、だめっ……出ちゃう……!!」
由紀が振り返ってトイレを出るよりも早く、さらにふたりの姿が飛び込んできた。
綾と紗由里であった。
二人とも可愛らしい私服に身を包んでいるが、顔色は悪く、お腹とお尻を押さえている。
「うぅぅっ…………!!」
――ビシャビシャーーーーーーッ! ビシャビュルーーーーーーッビュブシャーーーーッ!!
――ブシャーーッビィジャアッ! ブピッビュルブシャァァァァァァァァァァァァジャァァァァァァァビュルーーーーーーーッ!!
――ブジャッブシャァァビュルーッビュルルッ!!
「あぁっ…………!!」
――プピィビシャジャァァァァァァァァビシャーーーーッビシャーーーーーーーーッブシャーーーーーーーーーッビシャアアアアアアアアアアアッ!!
――ブジャッブシャーーーーーーーーッビシャーッ!! ビュルッビュビシャーーーーーーーーーッブシャァァァァァァァァァジャーーーーーーーッ!!
――ブジャッビシャァァァァジャーーーーーーーーーーーッ!!
綾はキュロットスカートをパンツごと下ろしながら手前向きの便器に座り、ほぼ同時に水便を吐き出した。
紗由里はワンピースのスカートを跳ね上げ、パンツを下ろそうとしたが、わずかに間に合わず、白いパンツに黄色い染みをつくってしまった。
「うぅ…………トイレ…………!!」
「はぁっ、はぁっ…………」
そのふたりの排泄が始まる前に、さらにふたりの少女が飛び込んできた。
3年生の乃梨香と亜美のふたりだった。
「ゆ、由紀ちゃんは大丈夫……?」
「え……あ、はい…………私は、今、出てきたところで…………っ!!」
――グギュルルルルグルルルルルッ!! ギュロロッ!
――ゴロゴロギュルルルルギュルルピーーーゴログギュルーーッ!
普段の健康さのかけらもない顔色の乃梨香に体調を案じられた由紀は、大丈夫だと言おうとしたが、その瞬間に彼女の身体に異変が襲いかかった。
――ゴロッピィーギュルルグウーーーーッ!!
――グギュゥゥゴロロロロロッ!! ギュルピィーッ!! ゴロギュルルルギュルグルルッ!!
「うぅっ……い、痛い…………!!」
きょう、何度も下痢を繰り返した中でも最も強い腹痛。
朝起きると同時にトイレに駆け込んだときや、授業中に強烈な便意に襲われたとき、体育の授業で下半身から上半身までグチャグチャになったときよりも、遥かに強烈な痛み。
由紀は立っていることもできず、お腹を押さえながらその場に座り込んでしまった。
「や、やっぱり由紀ちゃんも………亜美、まさかと思ったけど本当に…………」
「…………な、何かあったんですか?」
「あの…………前に、理科室に閉じ込められたとき…………急にお腹が痛くなって……おトイレ、我慢できなくなって……そのときと同じような感じなんです」
亜美が、時々言葉を詰まらせながら話し出した。
思い出すのも辛い記憶であることは明らかだった。
「そ、それって…………」
「……私はその場にはいなかったけど……結衣香は、夕食に下剤が入れられていたのは間違いないって言ってた」
乃梨香が目を伏せながらつぶやく。
「…………」
その理科室でどのような光景が繰り広げられたかは、「理科室汚損行為の事実関係を認定するための全校集会」において、証拠映像として繰り返し上映されたため、乃梨香も由紀もはっきりと目にしていたのだった。
渦中にあった結衣香、真帆、亜美の心情を思うと見てはならないと思ったが、目を背けることは許されなかった。
「も、もしかして、さっきの薬って………」
由紀のつぶやきに、乃梨香と亜美は小さくうなずいた。
あのときに使われた下剤を飲まされたのかもしれない……と。
しかし、体調の異変の原因がわかったところで、少女たちの置かれた状況は全く改善しなかった。
トイレに座り込んでいる瑞穂、美奈、綾、紗由里はまだ濁流のような水便を出し続けており、とても便器から離れられる状態ではなかった。
乃梨香、亜美、由紀が並んでいたトイレの入口には、新たにあゆみ、ソフィ、希、優紀子がお腹を抱えて駆け込んできていた。
どの少女も、いつ漏らしてもおかしくないほどの便意に襲われていた。
「はぁ、はぁ……………うぅぅぅぅぅ…………」
「亜美、大丈夫…………?」
「うぅっ…………!!」
――ビチュッ……!! ビュル、ビュルルルッ!!
亜美のお尻から、水っぽい破裂音が響く。
もともと症状がひどかった亜美はすでに我慢できなくなり、水便を下着の中にちびりはじめていたのだった。
「…………亜美、お風呂場でしよう」
「……えっ……………………」
乃梨香がお尻を押さえて震える亜美に声をかけた。
「このままじゃ、みんな我慢できなくなる……今ならまだ間に合うわ」
「………………う、うん」
乃梨香は、自らもショートパンツのお尻を押さえながら浴場に向かった。
しかし、浴場の入口は固く閉ざされていた。
『修理のため使用禁止』
「修理……!?」
「あなたたちの使い方が悪いからよ。
学校で汚物まみれになって帰ってきて、そのままシャワーで洗い流したでしょう。
そのせいで、排水口が詰まってしまったのよ」
どこからともなく寮長が現れ、修理の理由を説明した。
「い、いつ修理が終わるんですか…………!?」
「明日まではかかるそうよ」
既に限界近い乃梨香は焦りながら問い立てたが、寮長は冷然と絶望的な回答を返した。
「お、お願いです、…………お風呂場に入れてください、ダ、ダメなら洗面器かバケツを貸してください」
「あら、あなたたち、お風呂で何をするつもり?」
「…………あ、あの…………下痢がひどくて…………我慢できないんです…………トイレも満員で…………」
「お風呂で排泄したいと言っているの?
そんなこと認められるわけないじゃない。
聖女学園の生徒ともあろう者が、トイレの順番くらい待てないのかしら?」
「で、でも…………もう…………」
乃梨香は必死に食い下がったが、結局、実のある回答は得られなかった。
生徒会長の結衣香であれば、理を尽くした交渉によって何らかの成果を得られたかもしれない。
しかし、結衣香の姿はここにはなかった。
美術の授業で乃梨香をかばったために反省室に入れられ、恐らくは密室の中でひとり激しい下痢に苦しんでいるに違いない。
乃梨香は自分の無力感に打ちひしがれた。
「わ、私…………もう…………だめ…………」
――ブジュグボボボボボブジュルルルビチチチチチチチチビチーーーッ!! ブビビビビーーッ!
――ビュルッジャーーーーーーーーーーッ!! ブシャーーッ! ビュッビチャビュルーーーッ!!
――ブシャビチィーーーーッビシャーーービュルルルルルッ!!
――ブシャビチィィィィィィィィィィィジャアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
力尽きた亜美の脚が崩れ、しゃがみ込みながらショーツの中で凄まじい破裂音を響かせた。
フリルの付いたスカートのお尻には、押さえきれなかった水便の染みが浮かび、中のショーツは前から後ろまで水便でいっぱいになり、汚水をいっぱいに蓄えたダムと化した。
「ご、ごめん、亜美…………あ、ああっ…………」
――ゴボッブリゴボブーーーーッ! ビチブビビブボォォォォォォォォッ!! ブボビチチチチブジューーーブビッ!!
――ブシャビュルーーーッジャアアアアッ!! ビュルッブシャーーッビュルビュルッ! ブパッビシャーッビュルルルルルッ!!
――ビシャビュルビュルッ!! ビュッブシャァァァァァァァァビチィーーッ!!
――ビシャビュルルルルルルルルルルルビィーーーーーーーーーーブビビビビィーーーーーーーーッ!!
我慢できなかった亜美の姿を見て緊張の糸が切れたのか、乃梨香もほぼ同時にお漏らしをはじめた。
食中毒になる前からお腹が下り切っていたのに、食中毒による下痢、さらには下剤が追い打ちをかけ、乃梨香の胃腸は消化吸収機能を完全に放棄し、加圧放水機能を備えたホースとなり果てていた。
さほど厚くないスポーツ用のショーツからは汚水があっという間に溢れ出し、ショートパンツの股間部から両脚に焦げ茶色の水便が滝のように流れ出した。
「お、お待たせ…………いたしました…………」
大量の水便排泄で憔悴した瑞穂が、一番左の便器から立ち上がる。
「…………由紀ちゃん、本当に先に使っていいの?」
「う、うん………わたし、さっきしたばかりだから……」
「じゃ、じゃあ、ごめんね、なるべく早く済ませるから……うぅぅっ!!」
――ブピピピピピピッブバーーーーーーーーッブビィーーーーーッ!!
――ビチャブジュルビチブジュルーーーーーッ! ブビチチチブビーッブジューーーーーッビチブジューーーーーッ!!
――ブシャァァァァァァァビシャーーーーーーッ!! ビュッビィッ!!
――ビュビシャーーッビシャーーーーーッビチィーーッ!! ブピッブシャーッビシャーーブシャーーッ!
希がお尻を押さえながら便器に腰掛け、同時に大量の水便がほとばしった。
これまで腸内に溜め込んでいた固形物が混ざっていた希の便も、完全な水状になっていた。
食中毒の発症時より具合が悪くなっているのは、明らかだった。
希の隣の便器では、綾と入れ替わりで入ったあゆみが、大量の水便を出し続けていた。
さらに隣には、美奈が使い終えた便器にソフィが駆け寄ったが、あと一歩のところで漏らしてしまい、シルクのショーツを汚物の色に染め上げてしまった。
もちろんそれだけでは終わらず、汚れたショーツを足元に残したまま水便を注ぎ込み続けている。
一番右の紗由里はまだ排泄を終えておらず、断続的に水便を噴射させ、お尻に黄色い水飛沫を飛び散らせていた。
そんな様子を目にしながら、由紀と優紀子は、必死に便意を堪えながら順番を待っていた。
「…………わ、私、もう、だめ…………」
――ビィッ…………ブシャブビュッ…………ビュルルッ……!!
優紀子がお尻から情けない音を響かせながら、トイレの入り口とは反対の隅へフラフラと歩いていく。
同じ苦しみに耐えていた由紀には、彼女が何をしようとしているかはよくわかっていた。
優紀子は汚れが広がりつつあるショーツを下ろし、肛門を全開にしようとした。
「待って!! 寮長が、こんなことを……!!」
浴場で排泄しようとしていた乃梨香と亜美が、下半身をぐちゃぐちゃに汚したまま帰ってきた。
そして、今まさにトイレの床に排泄しようとしていた優紀子を見つけ、慌てて制止したのだった。
寮長からの指示には、少女たちをさらなる絶望に突き落とす内容が書かれていた。
『便器以外の場所で下着を下ろして排泄した者は、自分にはトイレが必要ないと宣言したものと見なし、1年間、寮および学校のトイレを使用禁止とする。
緊急避難として、どうしても我慢できない場合には、風呂場において下着を下ろして排泄することを認める。
ただし、女子寮の風呂場は偶発的な故障により水が出なくなり、清掃が不可能になったため使用禁止とする。
そのため特例として本日に限り、男子寮の風呂場に入ることを認める。
その場合でも風呂場に着衣で入ることは認められないため、裸で入ること。
また、排泄の場所、体勢、後始末の方法については男子の指示に従うこと。
なお、寮のトイレは、ウォシュレット使用後にお尻を拭いて流す必要があり、操作を誤った場合、その便器は24時間水を流せなくなるため、正しい使い方を心がけるように』
「そ、そんな………も、もう、ダメ………くっ!!」
優紀子は最後の力を振り絞り、ショーツを引き上げた。
同時に全開になった肛門が、その布地に水状便を零距離で叩きつける。
――ビュルーーッ! ブシャッビチィビシャァァァァァァビュルーーーーーーーッビシャーーーッ!! ビュッビチィーーッ!
――ブジャッビシャジャアアアアッ! ブシャッビシャビュルビィィィィィッ!!
――ビシャビチャビシャージャーーーーーーーッ!! ビュルッジャーーービュルーーーーーーーーーーーッビィーーッ!!
――ビュッビィィィィィィィィィィィィィィビュルーーーーーッ!! ジャーーーーーーーーーーービチィーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!
「あ…………あぁ…………あっ…………」
下着をはいたまま肛門を全開に排泄をしてしまった優紀子は、おぞましい感覚に身を包まれ、気を失いかけた。
しかし、一瞬たりとも治まらない腹痛と便意によって強制的に意識を引き戻され、涙を流しながらお漏らしを続けるしかなかった。
(ど、どうしよう…………どうしたら…………)
由紀は、お尻を押さえたまま震えていた。
浴場で排泄することはできない。
既に試みた3年生ふたりが、無惨な姿で戻ってきたことからもそれは間違いないだろう。
そして、トイレ内の、比較的汚しても問題ないところで排泄するという手段も、封じられてしまった。
男子寮の浴場で――ということは特例として明示されているが、どんなことをされるかわかったものではなく、あまりの恐怖に選択肢として考えることすらできなかった。
つまり、トイレが空くまで我慢するか、耐えきれずに下着にお漏らしするかの二者択一。
「えっ…………流れない…………!?」
あゆみが便器の中に溜まった汚物を流そうとボタンを押したが、全く水が流れなかった。
何度も押すが反応は同じであった。
「ど、どうして…………んっ!!」
――ブシャブシャーーーーーッビチィーーーーーッブシャーーーーーッ!! ブジャッジャーーーーッ!!
――ブピッビシャーーーーブビューーッ! ビュビュルルルルルルルルルルルルルルルッ!! ブシャッジャーーーーーーッ!!
――ブシャッビィーッビュルビシャーーーッビシャーーーーッビィィィィィィィィィィッ!! ビュッビュルルルルルルルルルルルルルルブシャーーーーーーーーーーーーッビィーーーーーーッ!!
あゆみがさらに大量の水便を注ぎ込む。
綾が出したものと合わさり、汚水の水面はお尻に付きそうな高さまで上がっていた。
これが流せないとどうなるか――あゆみには数分後の光景がありありと想像できた。
「あゆみちゃん、ウォッシュレットを使って! それからなら流れるかも……!!」
乃梨香の指示に従い、あゆみがウォッシュレット起動ボタンを押した。
「あっ…………!!」
ウォッシュレットは便座の後側から斜め下に伸び、先端が汚水の海の中に沈んだ。
くぐもった音がして、清浄な水ではなく、汚水をお尻に向けて噴射し始める。
そして数秒ほどすると、プスンと音を立てて、一切の動作を停止した。
学校のトイレでそうしたように、便意に苦しむ少女たちは少しでも早く順番を回そうと、ウォッシュレットでお尻を洗う時間や紙で拭く時間を削り、便器を次の人に明け渡した。
しかしそれは、正しい使い方に反したと認識され、水を流せなくなるというペナルティが与えられたのだった。
それを免れてまともに使える状態の便器は、便意が止まらなかった紗由里がずっと使い続けていた一番右のものだけであった。
他の3つはすべて、もはや水が流れない状態になってしまっていた。
「そ、そろそろ大丈夫みたい…………お待たせ…………」
紗由里が順番を変わろうとする。
下痢がひどかった紗由里は排泄に集中するしかなく、水が流れない騒ぎにも気づいていなかった。
「さ、紗由里ちゃん、わたしまだ大丈夫だから、ウォッシュレットを使って!!」
「え、いいの…………?」
「う、うん。で、でもできるだけ早く…………」
由紀は、4つ目の便器の機能が失われることをかろうじて阻止した。
しかし、それは自らの我慢する時間が長くなることを意味する。
「んっ…………」
――ビッ…………ブシャッ………………ビィッ…ブビビィッ…………!!
ワンピースにはまだ汚れが見えていないが、白いシンプルなショーツには、はっきりと茶色の染みが浮かんでいた。
「んっ…………」
ウォッシュレットの透明な水流が、紗由里のおしりに染みついていた水便を洗い流していく。
「うぅっ…………」
――グルッ! ギュルルルルゴロゴログピィーーーーーッ!
――ジュルッ………………ビチビシャッ………………ブビビビビィッ…………!!
その間に、由紀の我慢は刻一刻と限界に近づいていく。
「はぁぁ…………」
紙でお尻を拭き、その紙を便器に落とし、水を流す。
大量の水が流される音が響き、紗由里が吐き出した水便を洗い落とす。
何十個もの飛沫は残されていたものの、汚物の大半は下水へと流れ落ち、新たな排泄を受け入れられる状態に戻った。
「も、もうだめっ…………!!」
由紀は、紗由里が便器から離れるより早く駆け出した。
――ゴロロロギュルグギュルッ!! ゴログルギュルルグピィーーーーッ! グルッ!
――グピィィィィィィギュルルルルルルルルルルギュルーーーーーーーーーッ!! ゴロッゴロロロッ!!
「……っあ、ああっ…………!!」
――ゴプッブジュルルルルルルビィッ!!
――ブリュブジュボッ!! ブブブブッ! ビシャビィィッ!!
しかし、強烈な腹痛に身体を貫かれ、あとわずかのところで動けなくなってしまう。
必死に脚を動かし、奥向きの便器の横まで来たところで、由紀はついに力尽きた。
「ダメ、あ、あぁぁぁっ……………」
――ゴポポポポブピッビチィーーーーーーッビシャーーーーッ! ジャアアアッ!
――ブジャッジャービュルルルッ!! ブピッビシャーッビシャァァァァァァァァァァビチャジャーーーーーーーッ!!
――ゴボボボボボビチュブボボボボボボボッ!! ブピッビューービィーーッビチィーーーーッ!
――ビシャビシャーーーッブシャーーーーーーーッビィーーーーッ!! ブピッビューーーブシャーーーーッビュルーーーーーーーーッ!!
――ブシャッブシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァビチィーーーーーーッ!! ビュブシャーーーーーーッビューーーーージャーーーッ!!
ワンピース越しに押さえていたお尻の周りが一瞬で茶色に染まり、次いでワンピースの内側と両脚を伝って茶色の滝がいくつも流れ落ちた。
ブルマで逆立ちして漏らした状態より、身体の汚れは少ないかもしれない。
しかし、恥ずかしい姿を晒すことを前提としている体操着ではなく、普通の女の子の格好である私服を下痢便で汚してしまったことは、女の子としてわずかに残された尊厳に汚物を塗りたくってしまったように感じ、精神的な衝撃ははるかに大きかった。
「あ、あぁぁぁ…………うぅぅ…………」
――ブジュゴポッブビチチチチチチチブビーーーーーッブジューッブジューーーーーーーーーーーーーーッビィィィッ!!
――ビチャブピーーーーーーーーーーーーッブバーーーーーーーーーーーーーッブバァァッ!!
――ゴポッブジャッビュビィィィビィーーーーーーーッ!!
――ブシャァァァァァァァァブビューーーーーーーーッ!! ビシャブビューーーーーーーーーーーーーーーッ!!
由紀は、あと一歩進めば腰掛けられるはずの便器にたどり着くことができず、腸内の水便をすべてショーツとワンピースを通して床の上に吐き出してしまった。
その量は、さっき便器の中に放った量よりもはるかに多かった。
結局この晩、女子生徒たちに与えられた選択肢は、たったひとつの便器が空くまで我慢するか、耐えきれずに下着にお漏らしするか、もしくは、既に汚物で
いっぱいとなった3つの便器に腰を下ろし、汚物の海の中にお尻を浸しながら汚水の中に水便を噴射するか、の3種類となった。
男子寮の浴場で排泄することも一度だけ試みられた。
精神的支柱であった結衣香が自分をかばって反省室に入れられたことに責任を感じた乃梨香が、意を決して条件を受け入れ男子寮の浴場で排泄することを試みたのだった。
それは、この選択肢が使えれば他の女子生徒たちが楽になるため、身をもってどのようなことが起きるか確かめるという利他的なものであったが、乃梨香自身
のお腹の具合が悪すぎてお漏らしを繰り返してしまい、しかも手持ちの私服にスカートが少なく、ショートパンツを同時に汚してしまったため、このままでは着
替えがなくなってしまうという切実な事情のためでもあった。
彼女が男子寮に向かってから10分後、戻ってきた彼女は裸のままで、下半身は焦げ茶色の汚物でぐちゃぐちゃになっていた。
目にはいっぱいに涙を浮かべ、女子寮に戻ってきた瞬間に声を上げて泣き出してしまった。
男子寮の浴場で何が起こったか、他の女子生徒は見ることができなかったが、気丈な彼女の無惨な姿こそが、どれほどひどいことが行われたかを表現していた。
他の女子生徒たちはもちろん、乃梨香自身も、二度とその選択肢をとることはなかった。
すべての女子生徒は繰り返しトイレに駆け込み、ごく低い確率で便器を使えたときを除き、下着の中にお漏らしをすることとなった。
美奈は、便器まであと一歩のところで、立ったまま爆発的な音を立てながらジャンパースカートの中の白いパンツに水便を注ぎ込んだ。
あゆみは、トイレの隅でしゃがみ込み、スカートを汚さないようにお漏らしを始めたが、排泄物の量が多すぎてパンツから弾けるように溢れ出し、飛び散った飛沫がスカートを内側から汚してしまった。
ソフィは、何度もトイレに並んだものの一度も最後まで我慢できず、10枚以上の下着をすべて汚し尽くしてしまった。
恵子は、ロングスカートのお尻を押さえたままお漏らしを始め、茶色の液状便が流れ落ちるいくつもの筋を作った。
紗由里は、リボンつきの子供用パンツを何度も水便でいっぱいにし、パンツの上から溢れ出した汚物でスカートも汚してしまった。
由紀は、お腹の具合がさらに悪化し、何度か優先的にトイレを使わせてもらったが、その数倍の回数お漏らしをして、お気に入りのワンピースとショーツを次々と茶色い水状便で汚してしまった。
希は、ショートパンツを幾度も水状便で汚し、由紀から借りたスカートもお漏らし後の着替えの際に汚してしまった。
瑞穂は、レースのワンピースを着たまましゃがみ込んでしまい、一瞬でショーツを埋め尽くした水状便が溢れ出し、お尻全体を黄色に染めてしまった。
真由美は、スパッツを液状便で膨らませながらしゃがみ込み、上からも溢れさせてシャツにまで汚れを及ぼしてしまった。
綾は、キュロットスカートの中に水便を垂れ流し、オシッコの染みが残る子供用パンツの中で、何度も破裂音を響かせていった。
真帆は、ワンピースを汚さないように立ったまま液状便を漏らし、ショーツと靴下を次々と汚してしまった。
優紀子は、便意に耐えきれず、トイレの隅にしゃがみ込んではショーツの中に水便を注ぎ込み、床の汚れを拡大させていった。
乃梨香は、繰り返し便意に襲われて手持ちのショートパンツをすべて汚してしまい、溢れたトイレに座っておぞましい感覚に下半身を包まれながら汚物の海の中で肛門を開かねばならなかった。
亜美は、やはり最も排泄回数が多く、何度も便器を譲ってもらったものの、それでもショーツをすべて汚し切ってしまい、スカートで直に押さえながらお漏らしを続けていた。
「はぁ…………はぁ…………みんな、大丈夫かしら………………」
汚物の悪臭が充満する密室の中、結衣香は裸のままうずくまり、壁にもたれかかって苦しみに耐えていた。
本来なら、痛むお腹に手を添えていたいところだが、反省室に入れられる際に両手は背中で拘束されて自由を失っている。
そして既に、床は自らが排泄した汚水でいっぱいであった。
何度も何度も激しい腹痛と便意に襲われ、排泄した回数は10回を超えていた。
どれだけの時間が経ったのか、朝までどれだけの時間が残っているのかもわからない。
「う……っ……………………んっ!!」
――ブジャッビューーーーーーーーーーーーブビューーーーーーッ!! ビチィーッ!
――ビュビュルビシャアアアアアアアッ!! ブピッジャーーブシャーッビュルルルッ!
――ブシャビシャーーーーッビチィーーーーーーーッ!! ビュッビュルーーーッビシャアアアアアアアアアアッ!!
――ブシャッビュルビシャァビュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルッ!! ブシャビチィーーーーーーーーッビュルルルルルルビィィィィィィィッ!!
お尻を汚れきった両手で押さえるが、その外力をものともせず水便が噴き出していく。
辛うじて、背中で括られた両手がお尻に届いたためそうしているが、もはやほとんど意味をなしていない。
本当に我慢しようとしているのか、それとも、もう我慢を放棄して出したいと思っているが、自発的に排泄したと見なされると罰則を受けるために言い訳として押さえているのか、それすらもわからなくなりつつあった。
「はぁっ…………あぁぁぁぁぁ…………!!」
――ブシャビュルビシャアアアアッ!! ビチャビューービュルーッ!
――ビュルッビシャーーーーーーーーーーーーーーーーッビシャビィィィィィィィッ!! ビシャビュビィィィィブビューーッ!!
――ブシャッジャァァァァァビューーーーーージャアアアアアアアッ!! ブピッビュルビュルーーーーーッビチィーーーーーーーーーッ!!
――ビュルーーーーッジャアアアアアアアアアッ!! ブジャッビュルジャァァァァァァジャアッ!! ブシャビィィィブシャーーーーッブシャーーーーーーッビィーーーーッ!!
水便が床を打つ音が響き、新たな悪臭が密閉空間を満たす。
結衣香がこの密室から解放――それは、また学校で羞恥に塗れるということだが――されるのは、さらに排泄をを5回繰り返した後であった。
悪夢のような一夜が過ぎ、朝日に照らされた女子寮の中は、阿鼻叫喚の汚物の海となっていた。
特に女子トイレの中は、あちこちに広がったお漏らしの跡、汚物が溢れ出した3つの便器、常に誰かが座っていた唯一の便器、その便器まであと一歩のところ
で漏らした跡――と、あらゆる場所に下痢便の汚れが残り、それがマジックミラーの鏡によって幾度も反射され、黄土色と茶色の万華鏡を作り上げていた。
女子生徒の部屋の中でも、力尽きて眠りについたものの、寝ている間に汚物を垂れ流してしまったり、便意で目が覚めたものの腹痛で動くことができずその場で漏らしてしまったりしており、どの部屋にも下痢便の汚れが残っていた。
そして反省室の中では、両足首が浸るほどの汚物の海の中で、結衣香が立ったまま意識を失っていた。
下痢が回復しておらず、ほとんど眠ることもできなかった少女たちの体力は限界に近かったが、公式記録上では食中毒事件は解決済みとされており、翌日の授業は通常通り行われた。
トイレでの排泄とトイレ以外での排泄が数限りなく行われ、男子生徒たちの目を好奇に喜ばせ、女子生徒たちの心を絶望に堕とした。
夜になっても女子生徒たちの体調は回復しなかったが、なんとか4つの便器が使えるようになったため、ほとんどの女子生徒は下痢便の排泄をトイレで行うことができた。
それでも、タイミングが悪くお漏らしに至ってしまう生徒も少なくなかった。
発症3日目から下痢の症状が回復に向かう生徒が出はじめ、5日目には過半数の女子が排泄回数が5回以下となり、回復したと診断された。
一方、1週間を超えても下痢が止まらない生徒が紗由里、瑞穂、亜美と3名おり、彼女ら症状遷延者については、さまざまな追加検査が行われた。
悲惨な状態になった少女たちのお腹が完全に平穏を取り戻したのは、発症から2週間が経ったころのことであった。
反省室入りになっていた結衣香も、5日目でやっと反省終了となった。
情状酌量の余地ありとして反省期間そのものは当初の予定より短縮されたものの、教育上の指示を自ら無視したことは重大であるとして、生徒会長特権停止は1ヶ月間に及ぶことになった。
結局、結衣香が反省室に収監されていた5日の間、トイレの使用は一瞬も許可されることはなく、彼女は汚水の海に両脚を浸しながら新たな下痢便を漏らし続けることになった。
生徒会長特権を剥奪され、反省室収監者として男子生徒の言いなりになることを義務づけられ、一切の反抗を禁止された状態の中、下痢便脱糞の魔手にも襲われ続けることになった結衣香の学園生活が、凄惨極まりないものとなったことは、言うまでもない。
生徒会長をはじめ、この間の違反行為は数え切れないほど多く、内容も聖女学園の女子生徒にあるまじき痴態であったとして、とても公式記録には残せないと判断されたため、記録上は食中毒事件は1日で解決したこととなった。
もちろん、実際の記録は男子生徒および教師により、多数の映像データとともに余すところなく記録されていた。
数ヶ月後、海外の医学論文誌 St. Cosmos Journal of Medicine
に「下痢型病原性大腸菌感染時の下剤投与による症状遷延期間短縮に関するランダム化比較試験」と題する論文が掲載され、発症後早期に下剤を投与すること
で、一時的な症状増強が見られるものの、下痢症状が持続する期間は有意に短縮された――という報告がなされた。
聖女学園では、これを根拠として、食中毒が疑われる場合には積極的に下剤投与を行うことを推奨する――というガイドラインが定められた。
これによって、数ヶ月後にまた新たな悲惨な光景が生み出されることとなった。
この年だけでなく、次年度以降の生徒に対しても……。
関連ストーリー:聖女学園 短編エピソード サイドストーリー059 「週刊 聖女新聞 〜集団食中毒〜」
文章:メルティさん
修正/挿絵:ロック
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