第44章


 散々な有り様ながらも、ようやく2階までたどり着いた5人の少女たちは、しばらくの間その場でしゃがみこむようにして息を整えていた。
 一番始めに登り終えた希こそ、ようやく息の乱れが収まってきたところであったが、ほかの4人、とりわけ棒の上で何度も絶頂を迎えさせられてしまった由紀と最後まで男子のいたずらを受け続けた真由美の呼吸は、いまだに苦しそうである。
 それでも何とか落ち着くと、5人の少女たちは音楽室に向けて歩き出すことにした。
 

 2階の廊下には、1階のような三角棒は見当たらなかった。
 だがその代わりに、階段の前の廊下以外は、床面がなく、大きな穴が穿たれているのだった。
 その穴は、廊下の壁際1mほどを残して、廊下の床面の約8割ほどを占めており、きちんと床面があるのは今由紀たちが立っている階段の前の部分と、この廊下に面している各教室の出入口付近だけであった。
 その光景を見て、由紀は一瞬、訳がわからなかった。
(え・・・廊下がない・・・・?)
 そう思うのも無理はないだろう。
 だが、数歩その穴に近づいたときに、由紀はその廊下に秘められた破廉恥で意地の悪い意図を感じ取らずに入られなかった。
 その大きな穴は水槽のようになっており、廊下の穴全体にたっぷりと水が張られている。
 その深さは1mほどもあるかなり深い水槽だ。
 そして、その水が張られた水槽の上に、床の高さに4本、そして胸ぐらいの高さに同じく4本のロープがピンと廊下の向こう側に向かって張られているのである。
 そのロープは、今由紀たちがいる階段付近の廊下の床面から、次の床面である音楽室の出入口の前を越えて、廊下の向こう端まで、まっすぐに張られていた。
(ま・・・まさか・・・・・・・・・・もしかしてこの上を・・・・・)
 由紀は、余りにもあからさまなその光景に、ふっと希の方を振り返った。
「希ちゃん、これ・・・」
 由紀の視線を受けて、希はそのロープを見ながら答える。
「そう、そうなの。
 このロープの上を渡っていくのよ」
「や・・・やっぱり・・・・・・・」
 由紀の想像は間違いではなかった。
「8本ロープが張ってあるでしょ。
 その内、右側の4本が向こうに行くためのロープ。
 そしてこっちから見て左側の4本が、こっちに帰ってくるためのロープよ」
 由紀は、改めてそのロープを見た。
 床面の高さに張られた2本のロープが、約50cmほどの間隔をもって、平行に向こう岸まで渡されている。
 そして、その2本のロープの両脇には、ちょうど少女たちの胸元ぐらいの高さでこちらにもロープが2本、1mぐらいの間隔をもって張られており、ちょうど手すりのようになっているのだった。
 さらにその4本1セットの吊り橋ロープから2mほど離れた左側にも、同じように50cmほどの間隔をもった2本のロープと手すりが張られていた。
 そんな不思議な光景を見ながら、希の説明は続く。
「この、下にある2本のロープに両脚を乗せて、綱渡りみたいにして向こう側まで歩くの。
 でも、そのままだとバランスが悪くてうまく渡れないから、上に張ってあるロープを掴んで渡るのよ。
 まあ・・・・これもある意味罠みたいなもんなんだけど・・・・ね」
 希の言わんとするところは、由紀にもおぼろげながら理解ができた。
 50cmの間隔を持ったロープの上に両脚を乗せれば、当然それだけ股を開いて歩かなければならないことになる。
 普通の服、普通のスカートであれば、それは何の問題もない。
 だが、今少女たちの身を包んでいるのは、聖女学園指定のエッチ制服である。
 胸は透けるし、スカートは超ミニ、おまけにスリット入りときている。
 そんな格好で脚を肩幅まで開いて前後に動かせば、いつなんどきそのスカートの奥が明るみに出るかわかったものではない。
 当然、両手でスカートの裾を防御したいのだが、こんな不安定なロープの上で手放しで立つことは、とても不可能だろう。
 結果、少女たちは両手で手すりロープにつかまることになり、晴れて彼女たちのスカートは、持ち主の意思を無視して、無防備な姿で振舞う自由が与えられることになるのである。

 そしてもし、このロープから落ちてしまえば・・・

「それから、由紀ちゃん、絶対に手のロープは放しちゃダメよ。
 放しちゃったらまず間違いなく水の中に落っこっちゃうわ。
 そんなことになったら、全身ずぶ濡れで・・・・制服が大変なことになっちゃうから・・・・・・」
 その説明は、聞かなくとも予想に難くはなかった。
 これほどまでに薄生地の制服が水に濡れてしまえば、もはや透明なビニールも同然である。
 もし、水槽に落ちてしまったら、この後は、ずっとそのままの姿で過ごさなければならない・・・・・・。
 それは、決して耐えられるものではなかった。
「う・・・うん、わかった」
 由紀は不安そうな面持ちで頷いた。
 だが、実は希の説明にはまだ続きがあった。
「それに・・・・・・」
 希は、説明を続けようとしたが、一瞬、口が強ばった。
「それに・・・?」
 由紀は不安に思いながらも、希の話を促す。
「う・・うん、それに・・・、この水は水槽になっていて、中には魚とかウナギとかが泳いでいるの」
「お魚とウナギ?」
 由紀はきょとんとして希の言葉を繰り返した。
 由紀には、ここで魚やウナギが何の意味を持つのか、全くもってわからなかった。
 だが、次の瞬間、由紀は自分の耳を疑った。
「うん。
 魚・・・でも普通の魚たちじゃないわ。
 わたしたちの・・・その・・・恥ずかしい・・・穴に入ってこようとするの・・・・・。
 前にも・・・後ろにも・・・・・。
 それから、胸とか・・・・あそこの・・・・お、お豆にも・・・・・」
「・・・・・え・・・・な・・・何それ・・・・・・・」
 由紀は、余りに救いようのないこの廊下の罠に気が遠くなりそうだった。
 水に濡れて制服が透けてしまうのは絶対に嫌である。
 しかし、それにも増して不気味なのは、この水槽を泳いでいるという魚たちであった。
 自分たちの穴・・・すなわち膣に、そして肛門に潜り込もうとする魚たち。
 さらには胸や股間の突起に群がる淫魚。
 果たして、この世にそんな魚がいるのだろうか?
 そして、そんなことになってしまえば、自分がどうなってしまうのか・・・。
 由紀は、言い知れぬ不安と恐怖を覚えながら、
(絶対に落ちないようにしないと・・・・)
 と、決意を固めるのだった。
 

 由紀が悲壮な決意でその廊下を見つめていると、さらに希が説明を付け足そうとした。
「それから、この廊下にはね・・・・」
 希が再び口を開いた瞬間、

「みんな、まだそんなところにいるの?
 早く教室に入らないと、授業が始まっちゃうわよ〜」

 という声が、廊下に響き渡った。
 希はその声に振りかえる。
「あ、音楽の香織センセ」
「いけない、もうこんな時間ですわ。
 早く音楽室に行かなくては」
 希に続いて、瑞穂がもう休み時間が残り少ないことに気がついた。

「ほら、早く廊下を渡っちゃいなさ〜い」

 希に香織先生と呼ばれた女性教師は、由紀たちのいるところから約20mほど離れたところにある、音楽室のドアのところから、声をかけていた。
「はーーい」
 希は、香織に届くように大きな声で返事をして、
「さ、みんな渡ろ」
 とクラスメイトたちを促した。
 そして、希はそのとき由紀に廊下の説明している途中だったということを、すっかり忘れてしまっていた。
 

 5人の少女たちは、目の前に広がる人口の海原の上の心もとない吊り橋へと足を踏み入れていく。
 瑞穂、希に続いて、由紀もそのロープに脚を踏み込んだ。

 グラ・・・・

「きゃっ!!」
 
 由紀が脚をロープに乗せた瞬間、ロープ全体が大きく揺れる。
 由紀は、小さな悲鳴とともに、とっさに両手で掴む手すりを力強く握り締めた。
(やだ・・・・こ・・・怖い・・・・)
 由紀は、余りの足場の悪さに恐怖心を覚えてしまった。
 それでも何とか勇気を振り絞って、両脚をロープの上に乗せ、ゆっくりと足を前に滑らせていく。
 由紀に続いて真由美、そして綾がロープの上に乗っていった。

 そうして5人の少女は、1列になって水の上を行進していくこととなった。
 5人の美しい妖精のような少女たちは、皆、両手を両脇の胸の高さほどにある手すりにかけて、そして両脚を50cmほど広げた姿で、ゆっくりとゆっくりと、足を前へ前へと滑らせていっていた。
 その姿は、この学園の制服を身に纏う女子生徒たちにとっては、余りにも無防備な体勢であった。
 手すりに掴まっているためには、両手を大きく左右に開かなければならないのだが、両腕をそんなふうに大きく広げてしまえば、スカートの裾を気にするどころか、さきの階段上りで痛いほどに硬くなってしまった胸の小さなさくらんぼが、薄っぺらいセーラー服の生地を押し上げるようにして自己主張しているのを隠すこともできないのだ。
 5人の女子たちのセーラー服の胸元には、全員、はっきりと見て取れるほどにツンと突き出した乳首の形が、浮き彫りにされているのだった。
 おまけに、両足を肩幅ほどにまで開いてしまっているため、このまま歩いていくと、いつスカートのスリットが分かれて、その内部を明るみに晒すかわかったものではない。
 しかし、それでも少女たちはロープから落ちてもっと恥ずかしい姿を長時間晒すよりは ”まし” と思い、羞恥心に身を焦がしながらも、無防備な肢体をさらけ出すのであった。

 そうして、由紀もゆっくりとではあるが、足を進めていった。
 だが、余りに不安定な上に、前後を歩くクラスメイトたちの足の動きによって不意にゆれてしまうロープの上で、由紀は、ほかの4人の少女たちよりも悪戦苦闘し、何度もよろめき、バランスを崩しながら危うげな様子で進むのがやっとであった。

「きゃっ!!」

「あっ!」

「いやっ!!」

 由紀は、バランスが崩れそうになるたびに小さな悲鳴を上げて、必死に体勢を立て直しつつロープの上を渡っていっていた。
 そんな由紀に、男子たちの冷たい嘲笑が浴びせ掛けられる。
「由紀ちゃん、そんなにスカートをヒラヒラさせて、もしかして見てほしいの?」
「だったら、こう、ぐぅーーっと脚広げなきゃ」
「由紀ちゃん、いいぞ〜、その調子!!」
 由紀は男子たちの野次に、真っ赤な顔をしてうつむくしかない。

 なお、この廊下において男子生徒たちは廊下の壁際に残された1mほどの床面を普通に歩くことが許されている。
 したがって、この破廉恥な綱渡りを強いられているのは、当然のことではあるが、女子生徒のみである。
 男子生徒たちは、廊下の真中を危なっかしく進む少女たちを両側から挟み込むように、左右の壁際の廊下を悠然と歩きつつ、はしたない姿を晒しながら遅々とした行進を進める少女たちを存分に鑑賞するのであった。
 

 5人の少女たちは、皆、不安定な足場の上で四苦八苦しながら進んでいるが、中でも、最もこの廊下に慣れていない由紀は、5m進むのにも5回は転びそうになっていた。
 そうして体がよろめき、小さな悲鳴を上げるたびに、由紀の下半身を覆う最後の砦たるスカートは、右に左に、大きく揺れる。
 おまけにバランスを崩すと、その反動でどうしても、一旦両脚を広げなければ体勢を立て直すことはできない。
 そして、バランスを立て直そうと脚に力を込めれば、通常50cmほどの間隔でピンと張られているはずのロープを、両脚で押し広げるような形になってしまい、60cmにも70cmにも広がってしまうのだ。
 そのたびに急いで脚を閉じようと内股に力を込めるのだが、両脚を開いた勢いで一瞬スカートのスリットが広がり、その内部が微妙にちらつくことを避けることはほとんど不可能であった。
 いくら、さっき階段のところで全てを晒してしまったとはいえ、一度身なりを整え、改めて前進を進めた由紀にとっては、スカートの中が見られることは、耐えがたい羞恥心を伴うのである。
 ちょっとでも気を許せば、その場でしゃがみこんでしまいそうになる。
 にもかかわらず、両手は少しも下ろすことができないのだ。
 当然、由紀たち女子生徒が身に纏うスカートの最大の特徴たるスリットは、スラリと伸びた肉付きの薄い由紀の脚が動くたびに、大きく、小さく広がったり閉じたりを繰り返すことになる。
 もはや、由紀のじっとりと濡れた、飾り毛のないまっさらなクレヴァスに走る1本スジ、そして小さな桃のようなお尻の割れ目は、廊下の両端を歩く男子たちの目に、何度か焼きつくこととなっていた。

 そしてその羞恥は由紀だけにとどまらない。
 由紀がバランスを崩して両脚を開き、ロープの間隔を広げれば、その前後にいるクラスメイトたちも無事ではいられないのだ。
 何しろ、5人の少女たちは、皆、同じ2本のロープに両脚をかけ、行進しているのである。
 由紀によって開かれた2本のロープは、そのままその前後にいる瑞穂、希、真由美、綾の足元すらも押し開いてしまうのである。

「ゆ、由紀さん・・・お願い、脚を・・・・」
 瑞穂が怯えたような声で哀願する。
「由紀ちゃん、あ・・脚を閉じて・・・・・・・」
 希が羞恥に耐えながら由紀に促す。
「由紀ちゃん、ゆっくり進むの・・・、脚にしっかり力を入れて・・・・」
 真由美もまた、微妙に開いたり閉じたりする両脚に力を込め、苦しげな表情をしながら由紀にアドバイスを送る。
「いやぁ〜〜〜、閉じてぇ〜〜」
 綾は、人一倍小さな身体のためにほかの少女たちよりも大角度での開脚を強いられ、半泣き状態になっている。

 そう、由紀ひとりが脚を開けば、それにつられて4人の少女もまた開脚を強いられ、自分の意志とは無関係に恥ずかしい姿を晒すことになるのである。
 まさに連帯責任、一蓮托生である。
 だが、この仕打ちに対して、この廊下をきょう初めて歩く由紀は、余りにも不利であった。
 何度も何度もバランスを崩し、そのたびに由紀の脚が妖しく揺れて、そして5人そろっての開脚を披露してしまうのである。
 瑞穂の薄い恥毛が顔を出し、希の黒い叢がスリットをから垣間見える。
 由紀の無毛の亀裂が一瞬露になると、真由美の深く刻まれた一筋の割れ目が追従し、綾のパイパンの股間が日に晒される。
 そのどれもが一瞬一瞬の出来事ではあったが、男子たちはその一瞬を見逃すまいと少女たちを凝視し、そしてかもし出されるその一瞬のチラリズムを心から楽しんでいる。
 当然、野次も忘れない。
 もはや由紀は、女子たちの強制開脚装置以外のなにものでもなかった・・・。

 こうして、希も、瑞穂も、真由美も、綾も、そして由紀も、皆公平に男子たちの嘲笑をその身に受けながら進んでいくのであった。


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