第97章


 希が反省審査室に入ってから、30分ほどたった後、ようやく希は反省審査室から退出を許可された。
 反省審査室から出てきた希は、真っ赤な顔で怒ったような、恥ずかしがっているような表情で、目にはうっすらと涙さえも浮かんでいた。
 希は、この審査室の中で、恵理子によりさまざまな質問を問い掛けられ、そしてそれら全てに本心とはかけ離れた偽りの、そして屈辱的な答えを強いられたのである。

 この反省室に入れられた理由を問われれば、自分が男子生徒の正当な権利を妨害し授業の進行を妨げたこと、さらには、男子生徒たちのでっち上げである暴言や暴力といったことを、自ら認めるような答えをさせられた。
 そして、それらの行為は非常に浅はかで、聖女学園の生徒としてあるまじき行為であること、その全ては自分に非があり男子生徒には一切の落ち度や非難されるべき事実はなく、それらの責を自分が負うことは至極当然であり、この反省処置が正当な処置であったことを、自らの口で認めさせられたのである。
 そう答えなければ、「反省不足」と判断され、さらに反省期間が延長されることは、これまでの経験からわかっている。
 そして、そういう答えをしない限りは、延々とこの反省と称する恥辱の生活を続けなければならないことも、既に経験済みであった。
 普段の生活が快適なものであるとは思えるはずもないが、この反省中の生活の間は、その普段の生活と比べても段違いの辱めを受けつづける。
 もう、一日でもこの生活を続けることは、希には耐えられなかった。
 だが、そのためには、この余りにも不条理極まりない査問で、屈辱的な答えをしなければならない。
 かつて、この理不尽な審査において自分の非を認めなかったことがあったが、そのときは、反省期間の延長とともに、何度も何度も屈辱的で、そして恥ずかしい質問を受け続け、それに対して恥ずかしく悔しい答えをしなければ、開放されることはなかった。
 もう2度と経験したくはない希の記憶である。
 どうせ、最後には屈辱的なことを言わされてしまう。
 それならば、はじめから素直にここから出るための受け答えをした方がいい・・・・・・そう頭では思っているのだが、心の中まで制御できているわけではない希は、どうしても、その口調から悔しさがにじみ出て、表情も険しくなってしまうのだった。
 しかも、その間、常に全裸の肢体が幾つものカメラによって余すところなく映され、目の前にいる恵理子と、今もっとも憎らしい男子生徒たちの視線に晒されているのである。
 そんな中、希は両手を身体の横に伸ばし、両脚を肩幅に開いた無防備な姿勢で、屈辱に耐えていた。
 両脚の間から真上に向けられたカメラのレンズが、自分の最も恥ずかしい部分を大きく映し出していることもわかってはいるが、それを隠すことは許されなかった。
 もし、そうしてしまえば、これまで耐えてきた3日間が無駄に終わってしまうのである。
 希には、ただ、黙って恥辱に耐える以外にできることはない。
 その自らの意思で身体を晒しつづけることは、身体を拘束されて辱めを受ける以上の精神的な陵辱を、希に感じさせたのだった。

 そして、しぶしぶながらも自らの非を認めた希は、続けて反省と謝罪の言葉を述べさせられた。
 それは、普段の希からは決して聞くことができないような、男子生徒に対する殊勝な謝罪の言葉であった。
 ただ、この反省室から開放されるためだけに、自分の意志を押し殺しての謝罪。
 希は、唇を噛み締め、身体を屈辱に震わせながら、その謝罪の言葉を吐き出したのだった。

 反省審査の最後は、希の懺悔と誓いで締めくくられた。
 これも、この反省審査の場では恒例となっており、この懺悔と誓いを立てなければ、反省が終わることはない。
 反省室に入れられた少女が、その罪を全て認め、そして反省の意思と謝罪の言葉を述べ、そして今後、学園の風紀を守り、乙女としての慎みを常とすることを誓うのである。
 しかし、それは世間一般で考えるところの、言葉どおりの意味ではない。
 それどころか、まったく正反対のことを意味していると言ってもいい。
 反省と謝罪というのは、すなわち理不尽極まりない仕打ちのもとに課せられた少女たちの「罪」に対する懺悔である。
 そして、学園の風紀を守るということは、学園で繰り広げられる少女たちにとって屈辱的で破廉恥な辱めを素直に受けることであり、乙女としての慎みというのは、学園の教師や男子生徒たちの言葉に従順に従うことなのである。
 そして、それらの懺悔と誓いは、自分が心から反省していることと、自分の罪を償うためと称して、乙女として最も罪深い箇所、最も恥ずかしい場所、最も卑猥な部分、すなわち女性器を無残に広げた状態で行わされるのである。
 それは、がに股になって自分の指で女性器の大陰唇と小陰唇を開き、ヴァギナの奥までを自分の股下のカメラに向かって剥き出しにする格好である。
 少女にとって、最も恥ずかしく惨めな格好と言える。
 もちろん、そんな格好を自ら行うなど、絶対にやりたくはない。
 しかし、それをしなければ、この反省審査室から出ることができないばかりか、さらなる反省期間の延長が待ち構えているのである。
 この反省審査室を訪れた少女たちは、皆、この惨めな恥辱姿勢による懺悔と誓いを経験しているのだった。
 かつて、初反省で5日もの恥辱を受けた真由美も、そしてほかのクラスメイトたちも、全員この「反省」を経験し、この「審査」も経験している。
 この聖女学園において、入学以来、この「反省」を受けずに過ごしてきた女子生徒はいないと言ってもいい。
 どの少女も例外なく、幾度もこの破廉恥極まりない懲罰を受けた経験をもっているのである。
 聖女学園の女子にとって、女性器を晒すこと、さらには性器を開いて奥まで晒すことが最大の謝罪の意を示すこととされ、反省の締めくくりには必ずこの破廉恥極まりない姿を見せなければならないのだった。
 そして、きょう、再び希もその恥辱を経験した。
 膣の奥の子宮口まで剥き出しにする屈辱的な姿で、隣室にいる男子生徒が認めるまで何度も謝罪を繰り返され、今後二度と逆らわないということを誓わされるのである。
 この反省審査室にいる希の、文字通り運命を握っているのはその男子生徒たちである。
 いかに、普段から生意気な態度を取り強気な姿勢を貫こうとも、この部屋の中では希は最も立場の弱い存在で、一糸纏わぬ全裸で女の全てを晒している姿は、ただの非力な少女でしかないのだった。
 そうして、どうにか男子生徒の許しを得るまでに、希は10分もの間、何度も何度も屈辱的な言葉を繰り返したのだった。
 その間、男子生徒は、「希のクリトリスが勃起していないのは反省が足りない」とか、「懺悔をするなら愛液を垂らすのが常識」、「肛門も開かずにする宣誓に意味はない」等々、好き勝手なことを言っては、希に理不尽な要求を突きつけ、恵理子もまたその男子の意見を尊重した。
 希には、その男子生徒と恵理子の言葉に抗う術もなく、指先でクリトリスを摘み上げしごいて勃起させ、膣口をさすって愛液を滴らせながら懺悔の言葉を紡ぎ出し、そしてお尻の穴まで指で開いて誓いの言葉を宣誓し、ようやく男子生徒と恵理子の許可をもらうことができたのだった。
 

 これで、反省審査室を出た希は、ようやくこの反省期間から解放されることになった。

「はい、希さん、3日間の反省お疲れ様でした。
 これは、反省室に入る前に預かっていた制服よ」

 恵理子は、そう言いながら、反省審査室から出てきた希に、3日前に希から没収した制服を返した。
 まだ、涙目になっている希は、無言でその制服を受け取り、すぐにスカートとセーラー服を身に着ける。
 3日ぶりに着る、身体を隠す衣類である。
 身体を覆うには頼りないはずのこの制服でさえも、今の希には身体を隠してくれる大事な衣服であった。
 そして、希が制服を着終わるのを見計らったところで、恵理子は希の頭に結ばれたリボンを解きながら、

「それでは、これから北島先生のところに、反省終了の報告に行きなさい。
 先生には、私から連絡を入れておきますからね」

 と言った。

「はい」

 希は、一言だけ返事をして、寮から出ていった。


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