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「テニス部員たちは、どう言っているのかね」
「はっ?」
思いもよらない諸藤の言葉に、松川は不意を衝かれたような表情を見せた。
「どう…、と言われましても…」
そもそも、女が好きでもない男とセックスするというのは尋常ではない。売春婦をはじめ、女が身体を売り
物にするのは、何かそうせざるを得ない事情があるからだ。
そして、ここは国の慰安施設である。好き好んで性奴隷になる女性などおらず、慰安をさせるのに、慰安嬢
の意向など聞いていては成り立たない。権力と暴力を背景に、無理やり、力づくで、淫らな行為をさせるしか ないはずだ。それを考えると、テニス部員たちがどう言っているか、などということは関係ないはずなのに、 諸藤は何を考えているのだろう。
「彼女たちの了解はとったのかな?」
「いや…、それは…」
諸藤の真意を図ることができず、返答の言葉をなくしている松川に対して、諸藤は体温を感じさせない声で
言った。
「テニス連盟理事選の応援など、館の業務ではない。したがって、もし、やりたいと言うのでれば、まず、テ
ニス部員たちの了解を取るんだね。そうすれば、私も認めることにしよう」
「はあ…」
そう言われた松川は、途方に暮れて館長室を後にした。
(テニス部の実力を回復し、部員の了解を得る方法…)
どう考えても、そのための方法は一つしかないことに思い当たり、松川は急ぎ足でコーチ室に向かった。
アルメイア軍との共同作戦に派遣される魏国沿岸配備部隊の隊員たちは、蕩けるような一夜を過ごしてい
た。
夕食を済ませた彼らは、ガイドブック『星の園』の最新刊とタッチパネル式の端末を渡された。その日にオ
ーダーできる慰安嬢とプレイ内容が表示される仕組みだが、「おススメ」にテニス部員たちが全員入ってい た。今回の派遣部隊は、テニス部が積極的に引き受けるという南原と松川の約束があるからだ。
また、今夜の内容は、女生徒たちの部屋での一対一での慰安と宿泊に限定されていた。派遣部隊を丸ごと受
け入れる場合、司令部からこうした注文がつくことが多い。大きく分けると、攻撃を任務とする部隊では隊員 たちの獣性を掘り起こす過激なプレイが求められ、防衛を任務とする部隊では愛国心を育てる意味から恋人同 士のような甘いプレイが求められる。隊員たちのセックスも国家の管理下にあるオペレーションだということ だ。そして、一対一の部屋での慰安がオーダーされているということは、表向きは「一触即発」だと言われて いる魏国との関係が、実はそれほど緊迫したものではないと司令部が考えていることを意味している。
「よろしくお願いします…」
独特の言葉の抑揚に柔らかさを感じられるのは、生粋の京都生まれだからだろう。ほっそりした、たおやか
な雰囲気に背中まで伸びた黒髪がよく似合う。切れ長の目をした、しっとりと情緒のある美少女だ。
「あ…、はい…」
前田はドギマギしながら答えた。テニス経験があり、女子テニス選手ブームに熱中した彼は当然のことなが
ら、有岡美奈と人気を二分していた井上千春のことは、よく知っている。その千春が目の前にいるのだ。
タッチパネルに並ぶ慰安嬢の中に有岡美奈の名前がないことに、少しがっかりしたものの、千春を選ぶと抽選
の結果、幸運にもオーダーを取ることができた。時間になって女子寮の指定された部屋を訪問すると、鍵はか かっておらず、開かれた扉の向こうに千春が待っていたのだ。
「お風呂、どうしはります?」
優しい微笑みを浮かべて、千春が尋ねる。やって来たのが良い意味で普通の、真面目そうな隊員で彼女の方
もホッとしていた。自室にいる慰安嬢は、いつ、どんな男が訪問してきても、その求めに応じて身体を委ねな ければならない。部屋の鍵と同じく、彼女たちの身体も常に開かれているのだ。そのことへの諦めはあるもの の、やはり粗雑な男に部屋に乱入されて、乱暴に犯されるのはできるだけ避けたいという思いは強く抱いてい る。
「えっ…、あっ、入ってきましたけど…」
律儀にそう答えた後、前田は慌てて付け加えた。
「でも…、また、入った方が良かったら、シャワーぐらい浴びます…」
前田の返事が終わらないうちに千春は、甘い匂いとともに彼の胸に飛び込み、背中に手をまわした。
「ほな、キス…しましょ…」
いたずらっぽい上目遣いで彼を見つめる美少女のきれいなピンクの唇に、前田は無我夢中で唇を重ねた。柔
らかな唇の感触を味わっていると、ふいに千春の舌が入ってきて、前田の舌に絡みつく。大人しそうな外見に 似合わない積極的な振る舞いに、一瞬、目を見張ったものの、舌と舌が触れ合い絡み合う官能は、彼の理性を 蕩かすのに十分だった。前田は貪るように、がむしゃらに舌を動かした。
千春の唇が一瞬離れたかと思うと、置いてきぼりにされた前田の舌を、今度は濡れた唇で挟み、チュッチュ
ッとついばんでくる。前田は思わず、その唇に舌を這わせて反撃した。そうしてお互いの舌と唇を味わってい ると、キスは立派なセックスの一部だと感じられる。前田は舌を絡めながら仁美の唾液を吸った。
千春は前田の腕を逃れると、ブラウスのボタンを外し、襟に手をかけて自ら左右に開いた。ブラジャーに包
まれた胸の膨らみが現れた。白い清楚なブラジャーに包まれた乳房はけっして大きくはないが、白く愛らしい 膨らみを見せている。
「私のこと、好きにしてええんよ…」
そう言うと、千春は前田の手を自らの胸に導いた。柔らかな膨らみが、彼の手によって形を変えていく。そ
れは、天国の感触であった。
鳥居仁美はパンティ一枚だけ身に着けた姿でベッドに横たわっていた。なだらかな胸の隆起の頂上を彩るピ
ンク色の乳首が、呼吸に合わせて上下している。男は人差し指と中指で乳頭を挟むようにし、乳房の柔らかさ を確かめるように、ゆっくりとも揉みしだく。
「あっ…、あ…、…ぁ…」
乳首を刺激される度に、仁美が小さな喘ぎを漏らす。男は中指を乳首の上で円を描くように動かしていく。
「あっ、乳首が立ってきた…」
男は乳首の硬さを確かめるようにコリコリと動かした。仁美は恥ずかしそうに唇をキュッと噛み、左右に首
を振った。
(下はどうなってるかな…)
左手で胸を揉みながら、男は右手をパンティの中に滑り込ませた。その指は、陰毛のない仁美の土手の形を
確かめるように滑っていく。指先が到達した割れ目はぬめりを帯びてじっとりと濡れていた。
「すごい…、こんなに濡れてるよ」
男は、肉の割れ目を這わせていた指を仁美に見せた。指先がねっとりと糸を引く。
「恥ずかしい…」
頬を真っ赤にして呟く仁美を見て、男の興奮が高まった。
(やっぱり、この子を選んで良かった)
見学した練習の罰ゲームで彼女にフェラチオされた時は、あまりの気持ち良さに数分も我慢できなかったこ
とが思い起される。それだけではなく、仁美の落ち着いた優しい雰囲気に強く惹きつけられた彼は、タッチパ ネルを渡された時、迷わず仁美を選んだ。派遣を前にして一晩抱き合いたいと思った相手は他の誰でもなく、 仁美だった。
「見せて…」
そう言うと、男は仁美のパンティを脱がせ、両膝に手を当てて脚を大きく開かせた。つるつるに剃り上げら
れた大陰唇を開くと、愛液に濡れたピンクの肉びらが露わになり、溜まっていた蜜が零れ落ちる。男は顔を近 づけると、それを舌で掬い取りながら、襞肉を一枚一枚舐めていった。
「あぁっ…、あんっ、ああぁ…」
敏感な部分を舐められて、仁美が腰を震わせた。男は指を1本、暖かい媚肉の中の挿入し、ゆっくりと抜き
差しした。
「あっ、ああっ…、ああぁ…」
仁美の身体がビクンビクンと跳ねた。男は指を2本にして蜜壷をこねまわす。止まることなく溢れ出る愛液
がクチャッ、クチャッと音を立てる。ベッドの上で身悶えする仁美を見つめながら、昼のフェラチオの仕返し だとばかりに、男は指の動きを早くした。
「どう、気持ちいい?気持ち、いいでしょ?」
そう言いながら、男はクリトリスの皮を剥き、女の身体で最も敏感な部分をザラザラの舌でペロペロと舐め
上げた。
「あ、あぁ…、いい…、いい…、気持ちいいぃ!」
仁美は、もう堪えられないというように腰をせり上げ、激しく振った。膣に入れたままの男の指が強く締め
付けられる。
目の前には、赤黒く勃起した男の怒張が反り返っていた。全裸になって跪いた中西朋美がその先端を口にく
わえると、男はいきなり彼女の頭を両手で鷲掴みにして、自らの股間に押し付けた。
「う…ぐぐぐぅ…」
勃起した肉棒をいきなり喉奥まで突っ込まれた朋美は、吐き気と呼吸困難による苦しさで相手のズボンの膝
に両手をつっぱり、なんとか逃れようともがく。
「げほっ…、げほっ…」
ようやく頭を離した朋美は何度も咳込んだ。目尻にはうっすらと涙が滲んでいる。
「口を離しちゃだめじゃないか」
朋美の顎を掴み、ニヤニヤ笑ってそう言ったのは、館に到着した時に朋美に向かって「反愛国会社だった中
西産業」との言葉を投げつけ、彼女の父のことを面白半分で仲間に吹聴していたあの隊員だ。
「申し訳ありません…」
怒りと屈辱を抑えながら、朋美は深々と頭を下げた。
「さあ、さっさとしゃぶれよ!」
もともと底意地の悪さを感じる話し方をする男だが、今、その声は嗜虐の色を帯びている。部屋に来た途
端、全裸になるよう朋美に命じたものの、自分はまだ服を着たまま、小便でもするようにズボンからペニスを 突き出している。残尿臭のする肉棒を朋美に舐めさせようと、わざと風呂にも入らずに部屋にやったきたの だ。
「失礼します…」
朋美は目の前の怒張に再び唇を近づけ、先端から王冠部、笠の裏へと舌を這わせていく。
「俺のチ×ポは、おいしいか?」
「お…、おいしいです。私、オ×ン×ン…大好きです…」
屈辱の言葉を口にする朋美の唇をこじ開けるようにして、男が怒張を差し込んだ。朋美は逆らわず、大きく
口を開けて肉棒を咥え込んだ。
「おっ、朋美の口マ×コ、気持ちいいぞ!」
男は腰をクイッ、クイッと動かし、亀頭が舌で擦れる感じを楽しみながら、悪ガキのようにはしゃぐ。朋美
が頬をへこませ、肉棒を強く吸った。男の腰の動きに合わせ、肉棒は朋美の口の奥深くに吸い込まれていく。
「うっ、うぐぅ…、ううぅ…」
男が再び朋美の頭を掴み、前後に揺すりながら腰を送り込んだ。今度はうまく気道を確保し、朋美は顔を揺
すりながら怒張に貪りついていく。怒張が口の中の粘膜を抉る。男の腰の動きに合わせて、朋美は怒張を吸い 上げた。
「ううっ、で、出る…」
怒張が膨れ上がったかと思うと、精液が喉の奥にほとばしる。朋美は喉を鳴らし、男が放出する体液を飲み
干していく。
「まだ出るぞ。全部飲むんだ…」
男は、自分の肉棒をしごきながら残った精液を注ぎ込み、朋美の口から抜き取った。その途端、男のペニス
がビクビクと痙攣し、尿道に残っていた白濁液が、朋美の瞼に、鼻に掛かる。口の中から溢れ出す精液が口の 端からタラリとこぼれ、朋美の顎を伝った。
ベッドで仰向けになった男の勃起した肉棒を、愛液でぬれぬれになった秘唇に宛がうと、小倉恭子は腰を落
としていった。スタイルの良い美少女が騎乗位で自分の股間に跨ってくる様子は、それだけで興奮を掻き立て る。
夜の慰安はテニス部員だけではなく、普通科や他のクラブの女生徒を選んでも良かったのだが、テニス部員
は全員が隊員から選ばれていた。一夜の相手とは言え、多くの男はどうやら、少しでも知っている女により魅 力を感じるものらしく、館に来てから夕食の相手までを務めたテニス部員たちの人気は、必然的に高かった。
「うっ、いい…」
男が呻く。恭子はゆっくりと腰を沈めていき、ついには怒張を根元まで呑み込んだ。そして、ゆっくりと腰
を揺すり始めた。スレンダーな体形に比べて、意外なぐらいの豊かさを見せる双乳が、動きに合わせてたわわ に揺れる。
男の両手が恭子の乳房に伸び、鷲づかみにして捏ね回す。乳首を摘まんでは押しつぶす。その度に恭子の子
宮はキュッ、キュッと収縮する。
「いいっ、オ××コ、いいの…、もっと奥まで…」
「うおお…、しめつけてるぞ。すごいオ××コだ…」
男は夢中で、腰を突き上げ、双乳を両手で揉みしだいた。恭子の乳房が淫らに形を変え、飛び出した乳頭が
天を向く。
「あはっ、いい、いいの…もっ、もっと…胸を…」
そう言いながら、恭子は上半身を前に倒した。男が彼女の乳首を口に含み歯を立てると、恭子は嬉しそうに
喘ぎ声をあげる。
「あ…ああん…う、うふふン…」
恭子が腰を振るたび、グチャグチャと肉棒が愛液をかき回す音がする。愛蜜は、男の怒張を伝い、シーツに
染みを作って行った。
男は恭子の背中に手をまわし、その体を抱きしめながら、怒張を奥深くに送り込んだ。
「あはっ、きっ、きて…もっと強く…」
恭子の膣がキュッ、キュッと収縮し男の怒張を締め上げてくる。ついに男は我慢できなくなり、恭子の膣め
がけて精液を放った。
「い、いい、イク、イクゥー…」
恭子の身体が痙攣し、顎を仰け反らして絶頂の喘ぎ声をあげた。
玉田は、騎乗位で曽根と繋がっている美奈の上に覆い被さった。その怒張が美奈の菊座を突いてくる。
「いくわよ…」
耳障りなオネエ言葉とともに、汗ばんだ筋肉質のマッチョな肉体が美奈の滑らかな素肌を抱きしめ、肛門に
巨根がじわじわと入って行く。
「ううっ…、あはぁ…いい…」
小さく呻き声を漏らした後、眉根を寄せた美奈の唇から漏れたのは、意外なことによがり声だった。館に来
てからの調教の賜物で、肛門は彼女が最も感じる性感帯の一つになっている。
その肉体と同様に、カリ高でマッチョな玉田の肉棒は吐き出す精子の量も多く、標準サイズのコンドームで
は使用に耐えない。しかし、このプライベートレッスンではそんな心配は無用だ。コーチたちは思う存分、美 奈の身体にナマ中出しをしている。運悪く妊娠しても、簡単に堕胎させられてしまうだけだろう。アナルにつ いても、繰り返し浣腸をして腸内をきれいにしてあった。
「あうぅ…」
美奈が腰を震わせる。彼女の手首ぐらいありそうな玉田の怒張が押し込まれて、肛門の襞がすっかり伸びて
しまった。普通ならとうてい入らないサイズなのだが、プライベートレッスンの間、後ろの穴にもテニスボー ルが入るように拡張用のプラグを挿入して生活させられているため、美奈のアナルは難なく根本までそれを呑 み込むことができる。
「ああぁ…」
膣壁を擦られて、美奈が喘ぎ声をあげた。挿入しやすいよう、玉田が美奈の腰を持ち上げたのだが、膣内に
入っている曽根のペニスが抜ける心配はない。
「何回やっても、処女のような締め付けだぜ。慰安嬢にはぴったりの、具合の良いオ××コだ」
曽根が残忍な笑いを浮かべた。色白でヒョロ長い体形そのままに、肉棒の方も太さは普通より細いくらいだ
が、人並み外れた長さがあって、こちらも規格外だ。しかも絶倫で抜かずに3発、4発は余裕、具合がよけれ ば一晩中でも結合可能というバケモノである。
「あっ…、あんっ…、ああ、あはぁ…」
男たちが怒張の抜き差しを始め、上下からサンドイッチされた美奈が悶え始めた。
セックス・モンスターと言うべき身体を持っているのにあわせて、性癖の方も粘着質の玉田と暴力的な曽
根、そのどちらもが美奈に対して執着と憎悪を併せ持っている。そんな彼らの虐待と凌辱に晒され続けて、す でに一週間以上が経過していた。
それに加えて、このプライベートレッスンの首謀者であり、ネチネチと精神的なダメージを与えていく晴亜
がいる。おそらく、美奈のような強靭な精神力を持っていなければ、とっくに発狂していただろう。
曽根の腰の動きに合わせ、秘孔からはクチュクチュと淫らな音が聞こえてくる。玉田は背後から手を伸ばし
て美奈の乳房を揉みしだき、曽根の指が下腹部を弄ってクリトリスを捉えた。
「い、いいっ…、あああああ、そこ、たまらない…」
美奈が壊れたようなよがり声をあげて全身を震わせる。
男たちは時にはバラバラに、時にはタイミングを合わせて腰を動かし、二つの孔をかき回した。その間もず
っと乳首やクリトリスなど、女の急所を刺激するのを忘れない。
「いい、い、イク、イク、イ、クゥ!」
残されたわずかな理性まで飛んでしまったかのように美奈が絶叫し、全身を震わせる。それは、オスたちの
凌辱の前に完全に屈服した哀れなメスの姿だった。
その時、コーチ室のドアが開き、晴亜が入って来た。
「…プライベートレッスンは、これで終了よ…」
晴亜が苛立った口調でそう言った。その表情はすっかり不満げなふくれっ面になっている。
朝8時になった。館に宿泊した客をお見送りする時間だ。
魏国沿岸配備部隊は、テニス部員たちのお見送りを受けることになった。
「記念写真を撮りましょう!」
朋美の合図で、隊員たちがテニス少女たちと思い思いに写真を撮っていく。
隊員たちの表情はすっかり緩んでいた。可愛い女の子と一緒の写真はそれだけでもうれしいものだが、美少
女たちが着ているのは、乳房の膨らみを映し出し、健康的な太腿を剥き出しにしたテニス部のユニフォーム だ。きっと異国の地での無聊をなぐさめ、自慰をする時には、昨夜の思い出とともに、絶好のネタになるだろ う。
「失礼します」
千春が松田の腕を取って、胸の間に挟んだ。そのポーズでツーショットを撮影する。
「驚きましたか?でも、まだまだですよ」
そう言うと、千春はウエアを捲って胸を剥き出しにし、松田の腕に押し付けた。もう一方の手を掴んでスコ
ートの中に導き、掌を股間に当てた格好で写真を撮る。
「大丈夫です、任せてください」
仁美が、躊躇いを見せる隊員に抱きついた。一夜を彼女の部屋で過ごした男だ。彼にキスをしながらお尻を
揉まれる様子を写真に納める。その横では、案内役をつとめていた朋美が、剥き出しの乳房を背後から揉ま れ、お尻を固くなった股間に押し付けてポーズをとっていた。
「パンティが濡れてきたよ…」
恭子の股間を弄りながら写真を撮った男がニヤニヤ笑いながら、そう言った。
「アンスコですよ、記念に差し上げましょうか?」
「いいの?」
「大丈夫です、どうぞお持ちください…」
そう言うと、恭子はアンスコを脱いで隊員に手渡した。
「お渡しは検閲登録してから、基地にお送りすることになります」
朋美が、すっかり満足した様子の隊員たちに声をかけると、お見送りの撮影会が終了し、隊員たちはバスに
乗って館を後にした。
最後まで手を振って、隊員たちを見送ったテニス部員たちの所に、コーチの晴亜がやって来た。
「さあ、今から緊急のミーティングよ、全員コートに集合しなさい!」
何事だろうと不安を抱きながら、テニス部員たちがテニスコートに集まると、おもむろに松川がやって来
て、整列した彼女たちの前に立った。
「昨日慰安した魏国沿岸配備部隊に、当館の女生徒から二十人を選んで参加させることになった。選ばれた者
は年次を問わず、その時点で本館を卒業したものと見做され、防衛隊員として配属される」
部員たちを見渡して、松川が話を切り出す。
「そんな…」
話の内容を理解し、いち早く反応したのは、星園高校時代からテニス部にいる植田陽子だった。3月に卒業
した彼女の先輩たち、女生徒の多くが自動的に防衛隊員になり、中には海外派遣部隊に配属されて戦地に送り 込まれた者もいる。しかも、防衛隊員となっても、彼女たちの仕事は館にいる時とほとんど変わらない。男性 隊員や国防省の幹部、あるいは派遣国の関係者といった、男たちの性欲の処理であった。今回、「年次を問わ ず」ということは、例え1年生であっても、館に来たばかりでも、選ばれれば戦地に送られ、男たちの慰み者 として慣れない異国での生活を送ることになるのだ。
「なお、同部隊はアルメイア軍と一体で活動することが予定されている。この意味は、わかるな?」
松川の言葉に、井上千春が嫌悪感を露わにして、顔を顰めた。派遣部隊に送られれば、防衛隊員だけでな
く、アルメイア兵たちの性欲処理も引き受けることになるらしい。
「なお、派遣の任期は、現段階では未定とのことだ」
今度は部員たちが一斉にざわつく。一旦送られたら、いつ帰って来られるかわからない。いや、無事に帰っ
て来られるかどうかも保障の限りではないのだ。
「体育科を代表する我がテニス部は、この計画に積極的に協力することにした。ちょうど、テニス部の実力ア
ップが必要だと考えていた折でもあり、この一週間の練習の様子を見て、実力のない者は全員、派遣部隊に推 薦することとする」
部員たちはシーンと静まり返った。テニスの技量に自信のない部員たちは顔面蒼白になり、すすり泣いてい
る者もいる。由加理がそっと隣に視線をやると、里穂が目に涙を浮かべ、小刻みに震えているのが見えた。由 加理の胸がギュッと締め付けられる。
その時だった。
「たとえ、その時点での実力が十分でなかったとしても…」
凛とした声がコートに響く。部員たちが一斉に振り返って見た視線の先に、すっと背を伸ばした有岡美奈が
立っていた。
由加理は思わず目を見開いた。球拾いに明け暮れ、ボールガールの惨めな姿を晒していた彼女とは、まるで
別人のようだ。
「一週間という期間の中で、目覚ましい上達を見せた者を、もし部員から外すことになれば、テニス部の将来
はありません!」
部員たちが自然に左右に分かれて道を作り、その真ん中を美奈が一歩一歩と進んでいく。この間、まともな
練習から外され、ミーティングにも呼ばれなかった美奈が今、自分たちのキャプテンとしてコートに戻って来 た。その凛々しい姿は部員たちの胸を熱くし、長畑明穂などは感動のあまり泣きじゃくっている。
「お前ならそういう結果が出せると言うのかな?」
嘲笑を浮かべて、松川が尋ねた。
「やってみます!」
強い光を宿した視線を向けて、美奈が答える。
「いいだろう、お前に任せる。派遣部隊に送られる部員を少しでも減らしてみるんだな…」
「いいえ、違います」
「何?」
鮮やかな笑みを浮かべて見せる美奈に、松川が怪訝な表情を浮かべた。
「派遣部隊には、誰一人として推薦させません!」
部員たちが一斉に美奈を見た。松川は驚いたような表情を見せる。
「おもしろい、もし、それが実現できたら、3人のコーチは全員クビだな」
松川は笑いながらそう言うと、くるりと背を向けてコートを後にした。
「ちょっ、ちょっと待ってください…」
晴亜が慌てて声をかけ、3人のコーチが松川の後を追う。その様子を見ながら、部員たちは美奈を取り囲
み、一斉に歓声をあげた。 ![]() ![]() ![]()
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