催眠TV
〜第2話〜


「さて、自己紹介も終わりましたが、もちろんこんなものではまだ少女たちのことを理解しきれていないことでしょう」
 司会者はあいかわらずの調子で進行を続けていく。
「というわけで、質疑応答の時間にまいりたいと思います。
 質問のある方は挙手をどうぞ」
 そう言うと、ギャラリーが手を挙げていく。
 もともと仕組まれているのであろう。
 手を挙げる人は数人しかいない。
 とはいえ、何も知らされていない少女たちにとっては恐怖を和らげる手助けにはなっていないが…。
「はい、ではその…、はい、あなたです。
 質問をどうぞ」
 指名された男にマイクが手渡された。
「はい、僕は男なんで分からないんですけど、やっぱり胸が大きいと肩とかこったりするんでしょうか」
「はい、では今の質問に答えていただきましょう」
 そう司会者が言うと、スタッフが壇上にいる数名の少女に声をかけていく。
 声をかけられた少女はスタジオの奥へと移動していった。
「では、準備ができるまで会場に残った子に質問してみましょう」
 そう言うと、小柄な少女の元に近づいていった。
 少女は条件反射のように自己紹介をはじめた。
「え、あ、…1年…、松本さえ…です」
 さえと名乗った少女には、まだ「乳房」と呼べるほど立派なものはなく、二つの幼い乳首のまわりがぽこんと盛り上がりはじめたばかり、という状態である。
「最近成長しはじめた、という感じですね」
「は、はい…。
 クラスの子はみんな大きくなってきてるのに、私だけ取り残されてた気がして…。
 でも、最近になってようやくふくらみはじめたって感じで、うれしいですけど、恥ずかしいです…」
 自分自身の感じているコンプレックスを、少女は語り始めた。
 当然、自らすすんで話しているわけではない。
 しかし、マイクを向けられた場合、自分の「気持ち」を素直に話さなくてはならない。
 そう暗示をかけられているのだ。
「やっぱり大きな子はうらやましいですか?」
「は、はい…」
 司会者の、セクハラとしか言いようのない質問全てに、さえは答えていった。
「分かりました。
 では、あなたは?」
「はい。
 3年、寺尾翠です」
「スレンダーですね」
「あ、ありがとうございます」
「やっぱりスレンダーなだけあって、胸はぜんぜんないですね」
「は、はい…。
 正直悩んでます」
「さえちゃんはまだ成長中としても、翠ちゃんはもうあまり望めませんね」
 司会者の発言に、会場は爆笑の声につつまれる。
 話題に出されたさえも翠もみじめさに身を包んでいる。
 それでも翠はマイクにむかってしゃべりつづける。
「は、はい。
 こんな貧弱な体…、男の子は振り向いてくれないんだろうなって…」
「おやおや、翠ちゃん、すごいポッチしてますね。
 そんな小さな胸には不釣合いですね」
 先ほどの自己紹介でわかっていることであるにもかかわらず、司会者は羞恥心をあおるように大げさに言った。
 カメラは翠の胸の部分をアップにする。
 翠は顔をしかめながらも胸を突き出すポーズをとった。
 確かに、小さな乳房には不釣合いな大き目の突起物が二つ映し出されている。
「はい…。
 水泳の授業のときとか…、見えてしまって…」
「では、今、乳首は勃起しているわけではないんですね」
「は、はい。
 今はまだ…たってません」
「おやおや、普段からこんなに大きかったら、勃起したらどうなるのでしょうかねぇ。
 では、肩がこったことは?」
「…ないです」
 その後も「胸の小さい」少女に声をかけていく。
 胸の小ささをコンプレックスにしている少女に対し、胸の小ささのことについて質問を繰り返していった。

「さて、準備が整ったようですね。
 胸の小さい生徒はみな『肩はこらない』といっていましたが、では、大きい子はどうでしょうか。
 入場してください」
 先ほど、壇上から姿を消していた少女達が1列に整列して、入場してきた。
 彼女たちは下半身はジャージのままだが、上はビキニに着替えてきたのだ。
 下がジャージで上だけビキニ、それだけでも十分倒錯的でいやらしいのだが、そのビキニの面積はとても小さくかろうじて乳首を隠しているだけである。
 しかも、若干サイズが小さめなのか、その小さな三角形は柔らかい胸に食い込み、元は球体であったものをいやらしくゆがませている。
「では、早速検証していきましょう!!
 『胸が大きいと肩がこるのか』!」


文章:帰ってきた暴走アフラマズダ十三世7(元は)さん


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